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『小田和正クリスマスの約束』を振り返って

『小田和正クリスマスの約束』を振り返って

小田和正「クリスマスの約束」は2001年12月から毎年TBSで放送されています。
2010年も12月8日に収録予定が決まりTBSは観覧募集を行ってます(締め切り11月24日)。

10年間続いているこのTVプログラムの原点は何だろうと思いながら
久しぶりに第1回目のVHSビデオを引っ張り出して観ました。
今みても素直に”いい”って思います。

小田氏の次の言葉がその原点なのかな。
「大切なことは、一体何だろう・・・同じ時代を生きて、音楽を作ってきた人たちを
認め、愛し、尊敬することなのではないだろうかと。」

第1回は他人の曲を歌ったのは全部で9曲。
リズムやシンセ・サウンド、ギター、コーラスなどのアレンジは全て小田和正バージョンに変身し
オリジナルとは違う曲が仕上がってます。
歌のチカラを、あらためて感じる楽曲でした。

達郎さんの「クリスマス・イブ」もアレンジがカッコイイ!
何度聴いても、全部いい曲です。

・夜空ノムコウ (SMAP 作詞:スガシカオ、作曲:川村結花)
・桜坂 /(福山雅治)
・勝手にシンドバッド /(サザンオールスターズ)
・真夏の果実 /(サザンオールスターズ)ただし1コーラスのみ 。
・ひこうき雲 /(荒井由実)
・春夏秋冬 /(泉谷しげる)
・Automatic /(宇多田ヒカル)
・Tomorrow never knows / (Mr.Children)
・クリスマス・イブ /(山下達郎)

小田さんは今年(2010年)63歳。
第1回目放送の2001年は54歳でした。

達郎氏は「還暦までライブやります」って言われてましたが、まだまだライブ続けて欲しい!
っていう思い(願い)です。

以下、第1回目(2001/12)オンエアおよび再放送「クリスマスの約束…きっと君は来ない 完全版」(2002/2)より
引用しました。

◎ 冒頭

小田さんは7人のアーティストに手紙を書きました。

『突然、勝手な手紙を出す無礼を許して下さい。
TBSから、現在あるものとは違う音楽番組を
やれないかという打診があって、考えました。

この国で、僕らのような音楽をやってきた者にとって
今、大切なことは、一体何だろう。で、思ったのです。

それは、同じ時代を生きて、音楽を作ってきた人たちを
認め、愛し、尊敬することなのではないだろうかと。

偏見を承知で、非難を覚悟の上で。
無数にある名曲のなかから、一方的に7曲を選びました。
で、あなたの曲を、その1曲に選ばせて頂きました。
ここからが、本題です。

この曲を一緒に演奏してもらえないだろうか
というお願いの手紙だったのです。

もし、残念ながら、貴方の不参加が決まったら
自分ひとりで演奏するつもりで臨んでいます。

2001年10月5日 小田和正 』

◎ オープニング

小田氏 :

お待たせしました。
結論から言いましょう。
今日は誰も来ません。

〔会場:(笑)&どよめき〕

なんで、そんな嫌がるんだよ!
ひでぇな!

〔会場:(笑)〕

ま、期待させた僕が悪かった。
えぇ~、でもそんな事言って、ほんとは最後に誰か出てきたりするんじゃないのって・・・・
ほら、居た!

私が最後まで引っ張っていきますから!

〔会場:拍手〕

えぇ~かといって、色々事情がありましてですね、僕も散々断ってきました。
オフコースのときはもう、何頼まれても”出ません、出ません”
全部断ってきたんで、
えぇ、良く判ります。

で、こう一人で歌う訳ですねこれから。
ちょっと、へんてこりんですけれども
彼らは約束されても困ると思うんですけども、”僕が一人でも歌うという約束を守るよ”という、
これが「クリスマスの約束」なんです。
〔会場:拍手〕

なんか、ちょっと強引な感じがしますけども、それはそれで知的かなと思います(笑)
で、私は、どんな歌を選んだんだろう・・・。
初めてだよ、こんな人の歌を、僕はあんまりカラオケとか行かないし。

で、それぞれの歌を唄ってみたら、とても貴重な発見をいっぱいしました。
それぞれの楽曲には、それぞれのアーティストの素晴らしい世界があって、お世辞抜きで、僕はほんとに感動しました。

自分で唄っててね”オッ”としたりした事も何回もありましてですね、えぇ、その感動を皆に伝えられれば、と思うし、またきっと、断ってきた彼らは、・・と言いつつ、これを見たりするんだろうし。

どういう風だったら、喜んでくれるだろう。
色々考えますけれども、とにかく、そういう訳で丁寧に歌っていきたいと思います。

◎ 夜空ノムコウ

小田氏 :

そして、まず一曲目です。ね!緊張しますよ!

僕は、この歌が好きで、何度かステージで歌っているんですけれども、別の局の仕事で二度ほど彼らに会ったことがあります。
僕は会う前と、それから会ったあと、彼らに対するイメージっていうのは、この曲のままでしたね。
それが、あいつらにとって、嬉しいことかどうか、判りませんけれども。

この曲は青春群像。
青春群像って判りますか?
青春群像を非常に巧みに表現してるなと、つくづく思いました。

えぇ、こんな曲が書けたらいいなって、自分でも思うくらい良く出来てると思います。
この歌から伝わって来る、彼らの青臭い感じ、ぼくは、そこがとっても好きで、
ま、そういうとこが嫌いな人も居ると思うんですけれども、そういう人は大抵、多分、高校野球とか嫌いで、
僕は高校野球の、あの一途な感じが、結構好きですね、え・・・(笑)。

◎ クリスマスイブ

小田氏 :

さて、みんなも、あいつのことが絶対嫌いだってやつがいると思いますけども、僕はわがままだから、いっぱいいますヨ。
若いころは、みんな嫌いだったんじゃないかな?

たいてい僕の場合は、会うと「あっ イイヤツじゃん、こいつ」ってなっちゃうんですけど
そういうやついっぱいいて、ハウンドドックの大友とか、たまきとか、徳永とか、
みんな大嫌いなんだよね・・・会ったらみんな言うんですよ。

で、ある事がありましてその昔。
それ以来、二人は犬猿の仲といわれて
ごく近い人間に聞くと
あいつは、オレに絶対嫌われてるって、言ってるらしくて
俺はもちろんあいつに嫌われてるって思うし。

だんだん時間も少なくなってきて、こういう機会も無いと思ったので
今回、手紙を書きました。

で、彼から手紙に対して、とっても素敵な返事がきました。
この手紙はあくまで僕に対して書かれたもので番組に対しての手紙ではないんですけど
素敵なので是非みんなに紹介したいからって言ったら
本人からOKが出たので紹介したいと思います。

『前略 小田和正様 

ご丁寧な直筆のおたよりをいただき、ありがとうございます。
小田さんをはじめTBSのスタッフの皆様方の番組に対する御主旨は十二分に理解致しておりますが
いかんせん、私はこれまでテレビの番組というものに一度も出演したことがありません。

もともとご縁がなかった上に
キャリアが加わって今ではテレビメディアとの関係は
完全に音楽的な部分のみとなっており
こうなりましては、今更どうにもなりません。

小田さんをはじめ、諸先輩が、今なお堂々たる現役として
ご活躍されていることは、私のようなものにとりましては
大きな励みであり、また目標でもあります。

もともとこの曲はオフコースに触発されて作ったものです。
青山のアパートの1階がオフコースカンパニーで、
2階に私の所属事務所があった時代でした。

あの頃は、私も30歳になったばかりのとんがった盛りでした。
バンドで挫折した私にとってオフコースはとても重要なライバルで
敵がバンドのコーラスなら、こっちは一人で、とか
そういったしょうもないことを若気の至りで、いろいろと考えたものでした。

長い時を経て、小田さんにこの曲を歌っていただける時代になったとは
本当に感慨無量です。

心よりお礼申し上げます。

山下達郎 』

小田氏 :

というわけで、この手紙をもらったというだけで
大袈裟なようですけど私の人生の中でこの番組をやったという価値があると思います。

時を超えて、達郎が、”この歌を歌ってくれるのは感無量だった”という。
なんか、こう、憎しみ合っていたみたいなとこもあったからね(笑)。
出たのと同じ価値があるって感じだったね。

◎ 桜坂 /(福山雅治)

小田氏:

アーティストに憧れて歌を歌う俳優さん。
ね、よくいるでしょ!

僕は役者が歌を歌うという事に対して、とても偏見がありました。
どうも気にいらない。

それは、なんかやっぱり、彼らは、いつも演じることが仕事だから。

どうしても歌を、素直に歌っていても、どこか演技っぽい感じが、して。
ま、たぶん僕だけかもしれませんけども。

そんな訳で、今回、その7曲を選ぶにあたって資料用に作ったMDに彼の曲が入っていました。

聴いたら、いいんですよ(会場(笑))。
シンプルで、力強くて。

偏見はいけないな、思いましたよね。
で、彼から手紙の返事が来ましたので、これを一部紹介してですね・・・。

こういうものを使って(老眼鏡?をかける)。

『小田さんが、この曲をとりあげてくださるということ。
感慨深く受け止めました。

この曲が今までになく、多くの人達に聴かれ、歌われたという事実。
それは若輩者の僕にとって、本当に嬉しく、意義ある出来事です。

そして、小田さんからのお誘いで
そのことを再認識することになりました。
やはり、この楽曲は僕にとって
とても大切な存在なのだと改めて実感しています。

お誘いにお応えする余裕が全くないというのが
今日この頃の僕です。』

小田氏 : 忙しいんでしょ(笑)

『本当に申し訳ありません。
残念なお返事をさしあげなくてはならないこと
心苦しく思っています。』

小田氏 :

誰だか判んないから拍手もできないんだよね(会場(笑))

その曲をやりましょう。



ロールスクリーン 賃貸 川崎

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小田和正
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コメント

  1. sumire より:

    貴重な過去の情報、ありがとうございます。
    テレビも余り見ませんので、また、実のところ小田さんは余り聴かないので、こういう出来事があったのも全く知りませんでした。

    達郎さんはどうして“60歳までは”と強調するのかな、と思います。余り先のことまで約束するのは心配なんでしょうか。本当に60歳過ぎてもまだまだずっと歌い続けて欲しいですよね。

    ついでですが、うちの息子が福山雅治ファンなので、こちらのお話もありがとうございました。
    いつも「長崎行きた~い」と言っております・・・遠すぎていつ行けるか・・・。

  2. 9thNUTS より:

    sumire さん、コメントありがとうございます。

    小田さんの「クリスマスの約」10年間続くなんて、あらためてすごいと思います。

    それから、私、山下達郎ファンと同時に小田和正ファン、福山雅治ファンでして、常にトップを走り続けるミュージシャンの姿勢が大好きです。

    長崎に住んでると、長崎の事をしらないことが多くて・・・
    息子さんの長崎訪問、実現するといいですね。

  3. sumire より:

    前回のツアーで、達郎さんは小田さんのことを「化け物」とおっしゃっていましたね。
    何十年も前から実力のあるミュージシャン同士が張り合い、認め合ってきたんだろうなあ・・・と感慨深いです。
    長崎、私は20数年前に一人で訪れています。きれいでしたね。その頃福山雅治は長崎にいたのか、上京した後だったか、微妙な時期ですが、もちろん私は彼の存在など知るよしもありませんでした。
    息子の上の子は、修学旅行で長崎へ。
    息子は違う高校なので、行き先が違いまして、残念がってます。長い人生、いつかは行ける事でしょう。
    今日の「笑っていいとも」、たまたま家にいてたまたまTV付けたら、ゲストが福山雅治でした!録りました。

  4. 9thNUTS より:

    sumire さん、こんにちは。

    > 前回のツアーで、達郎さんは小田さんのことを「化け物」とおっしゃっていましたね。
    そうでした! 昨年「化け物」呼ばわりしてましたね。さすが達郎氏、尊敬の念の表現が素晴らしい!

    > 長崎、私は20数年前に一人で訪れています。きれいでしたね。その頃福山雅治は長崎にいたのか、上京した後だったか、微妙な時期ですが、もちろん私は彼の存在など知るよしもありませんでした。

    ウィキで調べると、福山君は高校卒業して数カ月後”1987年に上京した”とありますから、今から23年前ですね。
    私の友人が福山家の近くに住んでいましたが、当時高校生だった福山君は、その「眉目秀麗」さから”工業高校にカッコイイ男子がいる”と言われてたそうです。

    > 今日の「笑っていいとも」、たまたま家にいてたまたまTV付けたら、ゲストが福山雅治でした!録りました。

    本日201011月23日、13:05NHK「スタジオパーク」で福山君、生出演!・・・らしいですよ。
    録っとこっと。

  5. sumire より:

    今日は下の子の試合で朝から夕方まで私は新聞も見る暇なく、今知りました。
    でも、上の子は家にいたはずで、何はなくともTV欄チェックだから、見たかも。明日の朝聞いてみよっと。見てなかったら朝からやる気失くすかもしれませんけど。
    ウィキは何でも載っているのですね。
    23年前なら、既に上京した後だったかもしれません。知り合いの方がそんなお近くとは。うちの子に教えたら垂涎モノの情報です。

  6. 9thNUTS より:

    sumire さん、こんにちは。

    スタジオパークの龍馬伝スペシャル番組(11/23)は福山さんの話も良かったし、それ以上に児玉さんの話が胸にジンと響きました。お二人の落ち着いた喋りが良かったです。
    再放送は・・・・どうでしょうか、あるでしょうか!