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山下達郎さん サンデーソングブック 2011年05月15日『ゴスペル特集』

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山下達郎さん サンデーソングブック 2011年05月15日『ゴスペル特集』

長崎伊王島は今年の3月に橋が完成し、車で行くことができます。
地中海気分を味わえる素敵な島です。
海岸沿いを歩き、久しぶりに潮騒の音を聴きました。
ioujima

さて、今週のサンソンは「ゴスペル特集」
最後のアレサフランクリンのフルバージョン14分間のAmazing Grace
引き込まれてしまった!

達郎氏のバンドメンバーであるコーラスの佐々木久美さんは、ヴォイスアンサンブル(ゴスペルクワイヤー)の先生でもいらっしゃいますが、きっとこのオンエアお聴きになっていたでしょうね。

このブログでは、ほんの一部をテキスト化しています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。

◎ 冒頭

達郎氏:

5月も後半に入って参りました。
先週は台風が接近致しまして、それが前線を刺激して、南の方は大雨。
それから始まりまして、全国的に。

しかし、まあ、ほんとに、自然の脅威、猛威と言いましょうか、そういうものに驚かされる二月間でございます。

えぇ、もう、地震から早、二ヶ月以上が経過致しまして、依然として11万人以上の方が避難所で生活されております。

なかなか、復興作業、遅々として進まないという、今日この頃であります。

私も、私のスタッフの親類に被害が、いろいろ出たというのが、だんだん伝わって参りましてですね。
そういうようなものに、心を痛める今日この頃でございますが。

しかし、二ヶ月も経っているのに、なかなか、ほんとに物事が遅々として進まないというですね。
二ヶ月間、ずーっとこう、なるべくこう、平静に、穏やかに番組をやるように心掛けておりますけれども。

しかし、政治屋さんといい、電力会社の人といいですね、なんかおかしいですね。
ちょっと、こう、だんだん腹が立って来ると言いましょうかですね。

特に、あのぉ、福島の放射能の問題は、特にお子さんの放射能の問題、色んな人が色んな事言っておりますが、全然、どこまでが正確で、どこまでが間違いなのか、ちっとも判らないという。

子供を持つ親御さんは、ほんとに気が気ではありませんので。
東京でも、そういう御母さんたちが、結構不安を抱えております。

それが、原子力の保安だか安全だか。
保安でも、ちっとも安全でも無いような集団がですね、これは大丈夫なんだという、ただ強弁で。

だったら、データを見せろ!って。
こんなとこで、そんな事言ってもしょうがない。
でも、そろそろ、そういう事が口に出てしまう位、なんかこう・・・

心もとないといいましょうかですねぇ・・・そういう政治屋さん、どうしたらいいでしょうね。

なので、せめて、この55分間、音楽で少しでもですね、和やかに気持を過ごして頂ければという願いを込めまして、今日もお届けしたいと思います。

かねてから、ご要望頂いておりました”ゴスペルをやってくれ”という。
ゴスペルというのは宗教音楽ですのでですね、私、別にクリスチャンではないので。

音楽的なアプローチからしか申し上げられませんが、それでもゴスペルとう音楽に、強さといいましょうかですね、そういうものが我々に及ぼす影響は絶大なものが、ございます。

ほんとに、古今東西、ゴスペルソングたくさんありますので、55分間で、ほんと舐める程度でございます。

なので、特集というほどの物ではございません。
それほどの造詣もございませんので、今日はゴスペルで「棚から一つかみ」。

それでも、一種のサウンド・シャワーと言いましょうか、音楽持つほんとの意味のですね、力というか、そういうものをですね、宗教の力をバックボーンにした、そうした音楽がですね、示してくれるという。

そういう力をお聴きを頂ければな、と思っております。

今日は、そういう訳で「ゴスペルで棚から一つかみ」
日曜日の午後のひと時、ゴスペルソングでお楽しみを頂きたいと思います。

山下達郎のジャックスカード・サンデーソングブック
今日は最高のゴスペルと、最高の音質でお楽しみを頂きます。

で、全然関係無いリクエストで。
5月に入りますと、いつもこの曲のリクエストを沢山頂きます。

歌詞に「5月」という言葉が出てまいりますので、超常連の皆様、いつもこれを御所望でございます。
ちょうど、5月の真ん中でございますのでですね、いいかな、という感じでございます。

山形市のT.Kさん、超常連の方ですが。
『五月晴れに誘われて郊外の野草園に出かけました。
ガイド・ウォーキングのおり、南相馬から”かみのやま温泉”に避難されている方たちと一緒になり、色々お話をしました。

お天道様の下、遅咲きの大山桜が満開で、皆さん大変喜んでおられた笑顔が一杯でした。
お別れの時”お気を付けて”と申し上げたら、”秋のシーズンには、今後は自宅から来ます”という力強い返事を頂き、逆に勇気づけられてしまいました。』

お便りでございます。

岡崎市のO.Kさん、栃木県のH.Nさん、北海道のI.Hさん、相模原市のH.Sさん、上越市のY.Tさん、他たくさん、たくさん下さいました。

ありがとうございます。

1991年の私のアルバム「アルチザン」から「片想い 」

◎ ゴスペルとは何か 

達郎氏:

ゴスペル、ゴスペルと最近は、色んな所でですね、言われておりますが。
ゴスペルとは何かという定義があります。

ゴスペルとは、漠然と黒人がやる宗教音楽と言いましょうかですね、教会音楽とか、そういうような捉えられ方をしておりますが。

正確に申し上げますと、奴隷で黒人が連れてこられてですね、キリスト教を教え込まれて、そこから生まれたのが、黒人霊歌と日本語では言われておりますが、ニグロ・スピリチュアル。
最近ではニグロというのは差別用語なのでブラック・スピリチュアルと言われておりますが。

いわゆる奴隷時代からの伝承音楽、ワーク・ソングとかですね、奴隷時代に歌っていた歌からの派生で、それがまぁ、トラディショナルな民謡とくっつきまして生まれたのがブラック・スピリチュアルという形式ですが。

それに対してゴスペルというのはですね、1930年代くらいに古くからある、そうした正当的な讃美歌以外の、新しく作られた宗教音楽。
既成のポピュラーソングからゴスペルになったりですね、そういうような新しく作られたものです。

20世紀に入ってからの、そういう様な宗教音楽をゴスペルと指します。
これは学術的なあれですが。

大きく分けてブラック・ゴスペルとホワイト・ゴスペルに分かれます。
日本では、まあ、ゴスペルというとブラック・ゴスペルの事を言いますが、それだけではなくてホワイト・ゴスペルというジャンルもちゃんとございます。

エルビス・プレスリーなんかも、それをクロスオーバーしてですね、当時のメンフィスでブラックもホワイトも両方とも歌ったというような、そういうような人でありますが。

今日は、そういう訳でゴスペルソングなので、そうした20世紀のゴスペルの音楽、それを、ブラック・ゴスペルを中心として、いってみます。
私は、それをずーっと聴いてきましたのでですね。

だいたい1930年代くらいから、ゴスペルソングというのは、市場に出てまいりまして、それが白人のカルチャーにもかなり大きな影響を与えてきたという。

トーマス・ドーシーとか元祖の人がおりますが、そういうような人が始めた運動でございますけれども。

最初は、ごくシンプルなものなので、今お聴きを頂きましたみたいに、ジュビリースタイルと言いますが、4、5人のボーカルを、多くはアカペラでありますが、アカペラでこうした、今お聴きを頂きましたみたいに、一人が歌うことにレスポンス・・コール&レスポンスと言いますが・・こういうのをジュビリースタイルといいますが、そういう様な形で始まりました。

今お聴きを頂きましたのはBlind Boys Of Alabama、1939年にアラバマの盲学校で結成されまして、その時はFive Blind Boys Of Alabama と名乗っておりましたが、それが今日でも現役でございます。

今お聴きを頂きましたのは2001年のReal World Recordsといいますから、ピーター・ガブリエルのレーベルでありますね。
そこから出しました。

◎ ゴスペルのスタイル 

達郎氏:

ゴスペルという音楽はスタイルというのは、普通のリズム&ブルースとかですね、そういうものと変わりません。
ポピュラーソングをゴスペル化したような曲もありますし、そのあべこべもあります。

コマーシャル・フィールドでですね活躍して、それが人気が陰って来るとゴスペルの方に移ったりします。
なんか、そういう救済策、駆け込み寺とか、そういう意味も持ちますが。

そうした宗教音楽の範疇からすると、ロックンロールとかですね、リズム&ブルースは悪魔の音楽なので”行くな”というような事も多いです。

マービン・ゲイもお父さんは牧師ですし、サム・クックもそうですが、やっぱりその、ポピュラー・フィールドに行く時に、本人も廻りもですね、かなり迷ったという。

アレサ・フランクリンもそうですが、そうしたアメリカのリズム&ブルースとゴスペルは密接な関係がございます。

さっきお聴きを頂きましたThe Blind Boys Of Alabamaも完全に、1940年代とか50年代のマタ―でございますので、コンボでございます。

Rance Allen Groupはちょっとリズム&ブルースの系統でバンドをバックにしたものでございますが。

◎ ゴスペルミュージックの中心 

達郎氏:

いわゆるゴスペルミュージックの中心というのは長い間ですね、マスクワイアと言いまして、大編成のコーラス隊を従えて歌うという、そいう様なスタイルが主流でございました。

今は、そうでも無くなってきてますけれども。
そういたマスクワイアのヤツもかけないと、なんかやっぱり、理屈通りに行かないと幅広いので大変なんですよ(笑)。

◎ ゴスペルのスタイルは多岐 

達郎氏:

いわゆるブラック・ミュージック、アフリカン・アメリカンミュージックの理解にはゴスペルが不可欠なんですが、なかなか、そういう意味ではゴスペルの、日本で番組やってもしょうがない(笑)、やる人いないし(笑)、やってもなかなか視聴率とれないんですよ。

えぇ、たまたま棚つかでやることになりました。

そいう具合に、いわゆるブラック・コミュニティーと密接に関わっておりますのでスタイルも多岐です。
今までお聴きを頂いた3つも全然スタイルが違いますが。

最近はヒップ・ホップ、R&Bカルチャーのマシン・ミュージックの興隆とともにですね、ゴスペル・スピリットもそれに連れてですね、歌は世につれ大きな変化を遂げております。

そうしたヒップ・ホップ、R&B系のゴスペルミュージックをお知らせの前にひとつ。
歌っているのがDeitrick Haddon。

この人はデトロイト生まれ、73年生まれ、若い人でございます。
この人は牧師さんの子供なので、もう宗教一家の息子でございまして。

ちっちゃい時から、そういうクワイアでやって、だんだん大きくなるにつれてR&B、ヒップホップ系に影響されて、そういうような作風で人気がある人でございますが、今日お聴きを頂きますのは、2004年のアルバム「Crossroads」というアルバムから、これがゴスペルか?というようなサウンドをしております。
“God Is Good “

◎ これを聴かずしてゴスペルを語るなかれ!

達郎氏:

ゴスペルソングというと、やっぱりこの曲がとどめなんですよね、”Amazing Grace”。

Amazing Graceっていうのは、アメリカで作られたゴスペルソングではなくて、もともとは18世紀に奴隷船の船長だったジョン・ニュートンという人が悔い改めて牧師になりました。
それの原因だった船が遭難した、その体験から牧師になって作った曲なんですが。

ま、ほんとに、古今東西色んな名唱がありますが、究極はこれ、”Aretha Franklin”。

1972年の1月13日か14日にかけてですね、南カリフォルニアで行われましたジェームス・クリーブランド、サザン・カリフォルニア・コミュニティ・クワイアのセッションでございますが。

ここで歌われたAretha Franklinのこれが、究極だと思います。

ゴスペルソングというものとしても、これが究極ではないかと思います。

14分という長丁場なんですが、これを聴かずしてゴスペルを語るなかれ!という。
1972年のダブル・プラチナムに輝きましたAretha Franklinのアルバム「Amazing Grace」
それの完全バージョン、コンプリート・レコ―ディングというのが、99年に発売されました。

そこから・・・14分、ご堪能をどうぞ。

今週のオンエア曲

14:04 片想い / 山下達郎
14:09 The Last Time / The Blind Boys Of Alabama
14:16 I Belong To You / Rance Allen Group
14:22 My Soul Doth Magnify The Lord / O’Landa Draper&The Associates Choir
14:27 God Is Good / Deitrick Haddon
14:34 Amazing Grace / Aretha Franklin



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コメント

  1. sumire より:

    いつも大変な文字おこし、ありがとうございます。
    留守録システムを持っていないので、聞き逃すととてもがっかりしておりますが、ひょんなことからこちらを知り、とても感謝しながら見させていただいております。
    曲が聴けなくても、達郎さんのおしゃべりがわかるだけでも、ほっとします。
    15日のも、とてもよかったです。
    ありがとうございました。

  2. 9thNUTS より:

    sumireさん、こんにちは。
    管理人の9thNUTSです。

    > 曲が聴けなくても、達郎さんのおしゃべりがわかるだけでも、ほっとします。
    > 15日のも、とてもよかったです。

    ありがとうございます。
    曲は、甘茶んマ☆さんのブログ※にサンソンでオンエアされた曲のYOUTUBEがUPされてますので、そちらでお楽しみくださいね。

    ※ http://blog.livedoor.jp/simorakk/

    それでは、また来週。

  3. hanapi より:

    こんにちは。初めてコメントします。
    この日のサンソン、車の中で聞いていました。
    特に印象に残った曲があったのですが、アーティスト名、曲名が思い出せず困っていたら、このブログですべて記録していただいていることがわかり感謝感激です。ありがとうございました。
    その曲は、God Is Good / Deitrick Haddon です。私もちろん山下達郎ファンですが、この曲はリズム感といい音楽性といい素晴らしい、アルバム買おうかと思っています。

    PS.達郎さんのあの独特な語り口いいですねえ。コンサートでも同じように語ってくださいます。奥様を竹内まりやさんと呼ぶのも達郎さんらしくていい感じです。

  4. 9thNUTS より:

    hanapiさん、こんにちは。
    管理人の9thNUTSです。

    > 特に印象に残った曲があったのですが、アーティスト名、曲名が思い出せず困っていたら、このブログですべて記録していただいていることがわかり感謝感激です。ありがとうございました。

    「あの曲、なんだっけ・・・」ということが、私もよくありました。
    解決のお手伝いができて、ちょっと嬉しい感じです。
    また、このブログにお立ち寄りください。