山下達郎さん サンデーソングブック 2015年03月15日『ジミー・ウェッブ特集 Part 3』
長崎市内は春雨が降っています。
達郎さんが文化庁の「芸術選奨文部科学大臣賞」受賞者に決定したことが発表されました。
おめでとうございます。
NHKニュースにも達郎さんが・・・
平成26年度(第65回)芸術選奨
部門:大衆芸能
賞名:大臣賞
受賞対象:「山下達郎 Maniac Tour~PERFORMANCE 2014~」の成果
贈賞理由
山下達郎氏は「Maniac Tour~PERFORMANCE 2014~」において,近年演奏する機会がなかった作品を主体としたツアーを実施。これまでのライヴ同様,録音化された作品とは別個に,バンドを率いての生演奏による自然発生的な要素を加味した柔軟な演奏を展開。とりわけ評価の高い歌唱をはじめ,充実した音楽内容はより完成度を高め,際立つ個性とその存在感を示した。「クリスマス・イブ」に代表されるこれまでのシンガー・ソングライターとしての実績や,竹内まりや作品における制作者としての手腕に加え,ポップス史研究者として一般への紹介における貢献など,今後,多方面での一層の活躍が期待される。
ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックのほんの一部をテキスト化しています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。
◎ 冒頭
達郎氏:
早いもので、3月も真ん中になりました。
3月15日というと、確定申告が終わりですね。
私は自由業なので、サラリーマンの方は、あんまり関係ないと思いますけども。
自営業はですね、確定申告、マストなので(笑)
私、一生懸命ですね、領収書整理して、ちゃんとやらなきゃいけませんが。
何しろ、忙しいもんで・・4ヶ月分くらい溜まって参りましてですね、山のように領収書があります。
延々、夜中ひとりで、やったりしますが。
なんか、辛気臭い話ですいませんけど。
この番組をお聴きの方も、自営業の方、たくさんいらっしゃると思います。
たいへんですね、お互いに(笑)
ちゃんと税金は、いいところに使って頂きたいと思いつつ。
えぇ・・くだらないこと(笑)言っておりますが(笑)
曲書きしておりますので、今日は結構前倒しで録っておりますので。
お天気のお話とか、話題とか申し上げられませんで、すいません。
一生懸命、曲を書いております。
番組の方は、ジム・ウェッブ・・・
ソングライター、ジム・ウェッブ特集 Part3に突入いたしました。
3回の予定で計画してたんですけど、とても、全然間に合いません(笑)
なので、来週も引き続きいきたいと思いますが。
今週からは、先週、先々週、Part1,2はヒットソング中心ですが、今週からは私の好きなジム・ウェッブの作品。
ですので、全然、色々な方、お好みございましょうけどもですね、結構違う選曲でございます。
例えばテルマ・ヒューストン とかかかりませんで・・
私の好きな・・
あと、レアなものも、せかっくやりますので。
少しレアなものも入れてやってみたいと思います。
Part3に突入いたしました。
ギャンブル・ハフのように5週間続くんでしょうか、判りませんが。
ソングライター、ジム・ウェッブの素晴らしい作品を今日もお聴きを頂きたいと思います。
Part3になります。
日曜日の午後のひととき、今日も素敵なオールディーズソングでお楽しみを頂きます。
ジム・ウェッブの素晴らしい作品をお聴き下さい。
今日も最高の選曲と最高の音質でお届けを致します、山下達郎サンデーソングブック。
それでは、お知らせの後に、さっそく今日も、いってみます。
~ CM ~
◎CD化がされていません
達郎氏:
山下達郎がお送り致しておりますサンデーソングブック。
ソングライター、ジム・ウェッブの特集はPart3に突入を致しました。
久しぶりにサンソンらしいプログラムでございます。
でも今回このジム・ウェッブの、いわゆる作品集をやるにあたって、色々と音を集めましたけれども、CD化が思ったよりされてませんね。
60年代初期の、例えばリーバー・ストーラーとかですね、50年代のリーバー・ストーラー、それからキャロル・キング・・
そうしたような人達に比べて、圧倒的にジム・ウェッブの作品はCD化がされていませんし、昔されたものも今はほとんど廃盤で手に入らないというものなので。
ま、YOUTUBEで聴くしかないんですけども。
せかっくですので、なるべく、そうした隠れた名作みたいなものを中心に、今日はお聴きを頂きたいと思います。
今日はヒット曲は1曲もありません。
◎ 興味深いトラック
達郎氏:
3月1日にお聴きを頂きました「I Keep On Keeping On」
あれはB面でございまして。
本日はA面の方をお聴きを頂きます。
「This Is Where I Came In」という。
作詞作曲、アレンジ、コンダクト・・・ジム・ウェッブ。
イーというマイナーレベールから、インディレーベルから発売されたものでございますが。
同じくイー・レコード(E Records)という、この・・・66年に発売されましたDon Ray Sampsonという男性シンガーが歌います「Take It Easy」、これの作詞作曲、編曲、コンダクト、ジム・ウェッブ。
2曲続けてどうぞ。
♪ This Is Where I Came In/The Contessas
♪ Take It Easy/Don Ray Sampson
ソングライター、ジム・ウェッブとしての最初期の作品、2曲。
The Contessas、1965年「This Is Where I Came In」
この曲は本人ジム・ウェッブも気に入ってるのか知りませんが、テルマ・ヒューストンとかリチャード・ハリスで、その後カバーが結構作られました。
あとは66年、Don Ray Sampsonの「Take It Easy」という曲でございました。
ま、曲の面白い、つまらないは別にしまして、資料的な価値は、あるものですので。
二十歳そこそこのジム・ウェッブのアレンジのやりかたとか、そういうのが興味深いトラックであります。
My Christmas Tree/The Supremes
達郎氏:
3月1日、1回目にちょっと触れましたが。
本人のインタビューで一番最初に印税をもらった曲というのが、シュープリームの1965年のクリスマス・アルバム「メリークリスマス」に入っております「My Christmas Tree」
。これで350ドルもらったというですね、インタビューに出てきました。
その曲を聴いてみましょう。
♪ My Christmas Tree/The Supremes
駆け出しのソングライターにとっては、こういうシュープリームスみたいなビッグネームに曲が使われるなんて、ほんとに、嬉しくてしょうがないという・・・ものですが、私なんかも、そういう経験がありますけれども。
初めて自分が書いた曲がですね、そうしたシンガーに使われたり・・ような時は、ほんとに嬉しかったものですが。
それを思い出しますね(笑)
◎One Stand Here/The Johnny Mann Singers
達郎氏:
何度も申し上げておりますように、ほんとに、1960年代後半に、いきなり脚光を浴びまして、時代の寵児になりまして、ジム・ウェッブ・・・ソングライターとしてですね。
ですが作風は、どちらかというと、優しいメロディーですので、バート・バカラックとか、後のロジャー・ニコルスとか、そういう人達と同じでですね、ミドルオブ・ザロード系の人達にたくさん採り上げられることになりました。
そんなような中からですね、割と出来のいいヤツを今日はお聴きを頂きたいと思いますが。
ジョニー・マン・シンガーズ。
ウェストコーストでも活躍してます、いわゆるスタジオコーラス・グループ兼・・・いわゆる・・コーラス・グループですが。
ジョニー・マンという人のリーダーシップで作られておりますThe Johnny Mann Singers。
1967年に出しました『GOODNIGHT MY LOVE』というアルバムに収められております。
元々は1967年にジム・ウェッブ自身のユニットでありますストロベリー・チルドレンの名義でSoul City レーベルからシングルがリリースされましたが。
それのカバーでございます。
♪ One Stand Here/The Johnny Mann Singers
クレジット見ますと、アレンジしてるのが、なんとジョンバーラー。
ラヴ・ジェネレーションですね(笑)
いかにも!という感じで、ございますが。
このへんの、いわゆるソフトロック好きな方には気に入って頂けると思いますが。
こういうの、全くCDになりませんからですね。
◎5:30 Plane/Connie Stevens
達郎氏:
お知らせの前にもう一個。
こんどは、Connie Stevensの・・私の番組ではお馴染みですけれども。
Connie Stevensの1970年、ベル・レーベルからリリースされました。
プロデューサーがディックグラッサーで、アレンジがアーニー・フリーマンですからThe Vogues / ヴォーグスのプロダクションですが。
ウェストコースの、この時代ですので、もうジム・ウェッブ、何か曲をやりたいと。
そういう感じだと思いますが。
♪ 5:30 Plane/Connie Stevens
駄作のないConnie Stevens
1970年のベル・レーベルからのシングル「5:30 Plane」
5時半の飛行機
もともとは67年に、やはりミドルオブ・ザロード系のピカウディシンガーズ、こちらの方はジム・ウェッブが自分でやってるやつですけども。
出来はこっちの方が、僕、好きなので。
今日は、Connie Stevensのバージョンでお聴きを頂きました。
~ CM ~
◎来週
達郎氏:
当初は3週間で終わる予定だったんですけども、とても無理です。
来週も引き続き(笑)、いきます。
3月全部、やっちゃおうかな(笑)
ソロまで辿り着かない。このままいくと。
でも、ほんとに、今日は割りとコレクター向けの、割りとカルトなヤツですが、来週はもうちょっと戻ってですね、有名なところを少しフォローしようと思っておりますが。
いろいろ考えましたけども、ジム・ウェッブは結構研究してる人がたくさんいるので。
なるべく、こう・・オンエアされないCDになってないヤツを務めて選ぶように、今日、しております。
今日、一番濃いかもしれません。
◎4月
達郎氏:
4月に入りましたら新年度になりますので、またリクエスト等、いってみたいと思います。
お便りお待ち申し上げております。
102-8080
東京FM『山下達郎サンデーソングブック』の係
◎ご報告
さて、ちょいとご報告がありますが。
まずは竹内まりやさんの話題ですが。
7年ぶりのオリジナルアルバム「TRAD」去年出たやつですが。
これが第7回CDショップ大賞 2015年部門賞 マエストロ賞を受賞しました。
いわゆるCDショップの店員の方の投票で選ばれるやつですが。
それのマエストロ賞。
ここに書いてありますが・・・
『永年にわたり音楽シーンを牽引し、目覚ましい功績を残しながら、今なお第一線で活躍を続けているアーティストの作品に贈られる賞です。』
すごいっすね。
あとですね、彼女は島根県の出雲の出身でありますけども。
数年前に「愛しきわが出雲」というですね、出雲の歌を作ったり致しまして。
そうした楽曲提供、それから出雲を全国に情報発進するのに貢献したという事に関して、竹内まりやが特別功労者として出雲市に表彰されました。
詳しい情報はワーナーミュージック竹内まりやのサイトを御覧ください。
で、竹内まりやさんに続いて、私、山下達郎なんですが(笑)
昨年、ございました「Maniac Tour~PERFORMANCE 2014~」の、これが功績が認められましてですね・・・なんかしらよくわかりませんが・・・
2015年度の芸術選奨の大衆芸能部門で文部科学大臣賞を頂きました。
芸術選奨、昔からありますね、文化庁の主催で。
1950年に成立された古いあれですけども。
たくさんの方が受賞されております。
こちらの方は、私のワーナーミュージック山下達郎サイト、こちら御覧ください。
去年の、ちなみに受賞者の方は文楽の吉田和生さんとかジブリの鈴木敏夫さん・・
五街道雲助師匠! 諸星大二郎さん・・そうそうたるもんです。
こういう褒章といいましょうか、そういうものは、いろいろご意見ございましょうけどね。
ミュージシャンにとっても、ひとりでやってるわけではありませんのでですね。
私の場合は、やっぱりスタッフが沢山いますので。
例えばレコード会社のスタッフ・・福井の親戚にこれを報告するとですね、そういう仕事をやってるのか、と・・・
そういうスタッフも含めた褒章だという解釈ですので、くださるものはありがたく頂くという、そういう感じでやっております。
それもこれもですね、リスナーの皆様のご支援の賜物と、厚く厚く御礼申し上げます。
今後とも精進して参りたいと思っております。
◎This Is Your Life/Buddy Greco
達郎氏:
さて、ジム・ウェッブに戻りますが(笑)
1968年に出されましたシングルで、歌っているのがBuddy Greco。
この人はフィラデルフィア出身の、いわゆるクラブシンガーですね。
40年代、50年代にベニー・グッドマンと一緒に活躍しました人で。
ちょっと一世代前の人なんですが。
でも、この人はなかなか、こう、楽曲選曲とか、そういうセンスに長けてる人で。
たくさんアルバム出してるんですが。
これたぶんNOT LP化だと思うんですが。
68年、リプリーズ・レーベルから出しましたシングルで。
これはプロデュースがジム・ウェッブとジミー・ボーエン。
アレンジがジム・ウェッブ自らやってるという珍しいパターンです。
資料からしますと、これがオリジナルレコーディング。
このあと、 The 5th Dimensionとかテルマ・ヒューストンがカバーをして広まっていきます。
それの一番大元のレコーディングだと思われます。
◎Whatever Happened To Christmas?/Frank Sinatra
達郎氏:
フランク・シナトラが1968年に3人の子どもたちと「THE SINATRA FAMILY WISH YOU A MERRY CHRISTMAS」というクリスマス・アルバムをリリースしますが。
その中にジム・ウェッブの作品が1曲収められております。
「Whatever Happened To Christmas?」という曲で、これもほんとに暗い歌で。
”クリスマスは いったい どこに消えたのか
どうしてしまったのか
君は何があったのか”
延々そういう・・
いいクリスマスがみんな消えてしまったという。
そういうようなですね(笑) 非常にペシミズムに満ち溢れた歌なんですけど、フランク・シナトラの声で、なんか救われる感じがします。
♪ Whatever Happened To Christmas?/Frank Sinatra
◎Name Of My Sorrow/Richard Harris
達郎氏:
やはり1968年、リチャード・ハリスのアルバム「トランプ・シャイニング」、三度登場してもらいましょう。
これもほんとに、悲しい歌でありましてですね。
別れた女の子をずっと列挙して、彼らはみんな僕の悲しみの名前だと。
「Name Of My Sorrow」というタイトル、暗い・・・
チャーリー、リンダ、メリー・ルー、ジェーン、マリアンスーザン・・・
別れた女の子たち
みんな僕の悲しみの名前
今は君なんだ・・・
という、そういう落ちの歌ですね。
♪ Name Of My Sorrow/Richard Harris
60年代、特にジム・ウェッブの作品は、ほとんどは恋は成就しないという。
先週も申し上げましたが、それがこういう、こう甘味なメロディーで展開されます。
美しきペシミズムといいましょうかですね。
そういうような世代でありますが。
来週も、そういうようなものが、たくさん出て参ります。
◎二度と出来ない
達郎氏:
今日は、ジム・ウェッブ特集Part3でございました。
ちょっと、オタクでしたけども来週は、もうちょっと華やかなヤツが、いろいろと出てくると思います。
いくらでも出るんですよ(笑)
とにかく(笑)
好きなので、いくらでもやれるんですが(笑)
何度も申し上げましたように、二度と出来ないのでですね。
この際ですから、やれるだけやってみようと、思いますが。
Then/The Vogues
達郎氏:
ジム・ウェッブがソングライターとして60年代の後期にですね、いきなり出てきましたので。
ジム・ウェッブのデモテープが、勝手にコロンビアが出してしまいまして。
これが彼の実質的なファースト・ソロアルバムとなりましたが、本人は非常にそれに対して不満を再三述べておりますけれども。
歌がもうとにかく拙いので、それがイヤだと、いうようなあれですが。
でも曲は粒選りでありましてですね。
そのジム・ウェッブの『Jim Webb Sings Jim Webb』というコロンビアから68年に出ましたアルバムに収められておりました「Then」という曲があります。
これも、もう今の曲に勝るとも劣らない悲しい歌でありまして。
THEN あの頃・・
あの頃 未来はとても明るくて
あの頃は 全ては 上手くいってた
でも今は 寂しい夜を過ごしてる
君のことを あれこれと思いながら
あの頃は 気にすること無しに 愛し合った
あの頃は ふたりはいつも そこにいた
でも今は 別れたふたり
君のことを あれこれと思いながら
あの頃は 泣くことはなかった
でも今は 死ななきゃっていう気分
君のことを思ってる
・・というですね。
凄いですね、暗い(笑)
これを68年、同じ年にですねボーカルグループのボーグスがカバーを致しまして。
ヒット曲「Turn Around Look At Me」のB面に収めまして。
アルバムにも収めました。
これはアーニー・フリーマンのアレンジでディック・グラッサーのプロデュースで素晴らしい出来になっておりますが、今日はそちらでお聴きを頂きましょう。
♪ Then/The Vogues
今週のオンエア曲
14:05 This Is Where I Came In/The Contessas
14:08 Take It Easy/Don Ray Sampson
14:13 My Christmas Tree/The Supremes
14:17 One Stand Here/The Johnny Mann Singers
14:21 5:30 Plane/Connie Stevens
14:30 This Is Your Life/Buddy Greco
14:34 Whatever Happened To Christmas?/Frank Sinatra
14:38 Name Of My Sorrow/Richard Harris
14:44 Then/The Vogues
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