山下達郎さん サンデーソングブック 2015年03月29日『ジミー・ウェッブ特集 Part 5』

サンソン「ソングライター特集」

山下達郎さん サンデーソングブック 2015年03月29日『ジミー・ウェッブ特集 Part 5』

今年も桜が咲きました。
写真は外海(長崎市西出津町)にある出津(しつ)教会。
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」を構成する教会のひとつです。

今週のサンソン、最後にかかったPiano (Demo)、いい曲でした。
ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックのほんの一部をテキスト化しています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。

◎ 冒頭

達郎氏:

早いもので、3月も終わりです・・今週で。
年度末でございます。

年度末というと、ラジオもメディアは番組改編。
この季節になりますと、そういうお便りが・・
「大丈夫なのか!」

全然大丈夫です!

何事も無かったかのように4月に入るんです。
おかげ様で、来年度もちゃんとやりますので(笑)
引き続き宜しくお願いします。

私、今レコーディングやっておりまして。
今月いっぱいが締め切りの仕事でございますので。
結構今もう、ウンウンテンパッておりますので、今日は前倒しでございます。

お天気の話とか、申し上げられません。

えぇ・・来週になりますと、ちょっとリアルタイムで出来ますので、その時にまたフォローしたいと思いますけれども。

番組の方は、そんな年度末だというのに、3月ついに5週間全部ジム・ウェッブで、埋めてしまいました。
大丈夫なんでしょうか・・・
大丈夫です!

自分で自分の(笑)・・・
これが本来のサンデーソングブックのですね、始めた時からのアレなので。
ここの数年間、随分こう・・自分で言うのも変ですけども、柔らかくなって・・

昔はほんとにパッツンパッツンにオタクな番組であったんですけども。
最近はそうでも無くなってきましてですね。

これじゃいけないと思って、反省はしてませんけども。
たまにはソングライター特集・・
ソングライターの特集は、もうほんとに色んな人をやり続けてきて、おりましたがですね。

まだ、これからも先、続きますが。
ジム・ウェッブ、もう5週間でも、全然足りませんね(笑)

初めた時には3週間くらいで何とかなると思ったんですけど(笑)
とんでもない・・やっぱりキャリアが長い人は、大変です!
頑張ってやりたいと思います。

今日はPart5、最後になりますのでジム・ウェッブ自身の歌を中心に、やりたいと思います。
とは申しますものの、70年代以降の作品化されているものではなくて、デモとかですね・・
あとはCD化されてないものを中心に、今日はお聴きを頂きたいと思います。

今日はほとんど未CD化のオンパレードでございます。

コレクター関係の方には喜んで頂けると思います。
何十人いるか判りませんが・・・

そんなわけで、でも曲は結構いい曲ばっかり今日は、並んでおりますので。
ジム・ウェッブ、ファイナルをお楽しみ頂きたいと思います。

日曜日の午後のひととき、今日も素敵なオールディーズでお楽しみを頂きます。
ジミー・ウェッブ、ソングライター・ジミー・ウェッブの特集のPart5でございます。

今日も最高の選曲と最高の音質でお届けを致します。

ではお知らせを挟みまして、今日もいってみたいと思います。
 
~ CM ~

◎いろんな人が 

達郎氏:

3月は、結局5週間全部ジミー・ウェッブの特集になりました。
特に60年代、60年代後期からのジミー・ウェッブがソングライターとして華々しくデビューした初期のものを中心にお聴きを頂きました。

ソングライターという中でも、いろんな人がいましてですね。

ソングライターの中にはどうしても自分で歌いたいという欲求が強い人が多い・・・
いますね。

私は、歌はあれだから曲だけ書くという人もいますし。
自分のデモテープを自分で歌いたがるという、ま、キャロル・キングなんかはそれが高じて・・

ま、もともとキャロル・キング、バリー・マンも歌手志望だったんですが、夢は叶わずにソングライターになりまして、そのあとまた自分で歌い始めて・・・
キャロル・キングはそれで、ソングライターに勝るとも劣らない成功を収めましたが。

たとえば日本でいますと、筒美京平さんなんかは絶対自分でお歌いになりません。
彼のデモテープは全部キーボードでの演奏でありますが。

そういう方もいらっしゃいますが、やっぱりどうしても歌いたい。
ジム・ウェッブはまさに、どうしても歌いたいと、そういう人なんですね。

だからソングライターであれだけ成功しても、やっぱりどうしても自分で自分の作品を表現したいと。

その衝動は初期からあったようで。
モータウンで下働きをしていたあとに、オーディオ・アートというマイナーレーベルでやはり下働きをしましてですね。

その時に、ま、出さしてもらったんですね。これはね。
ミッドナイト・メールというグループ作りまして。
作詞作曲ジム・ウェッブ。

The Midnight Mail フューチャリング、ジム・ウェッブというですね。
ジム・ウェッブというクレジットで出ましたシングルが「I Can’t Get It」という。

あまり、おもしろくないんですけども(笑)
でも、話のタネです、これ。
レアなので。

ソングライターとしてジョニー・リバースに認められまして、ヒットが出かけた頃にジョニー・リバースが「お前、自分で何かやってみろ」と言われまして、ジョ、ニー・リバースのレーベル、ソウルシティで出したのが「ストロベリー・チルドレン」という名義の友達と作ったバンド。

これも作詞作曲ジム・ウェッブ、アレンジ・ジム・ウェッブ、プロデューサーもジョニー・リバース。
「Love Years Coming」という一曲でございますが。
2曲続けてお聴きを頂きましょう。

♪ I Can’t Get It/The Midnight Mail

♪ Love Years Coming/Strawberry Children

◎デモテープ 

達郎氏:

ジム・ウェッブは、そんなわけでソングライターとして脚光を浴びてスタート致しました。
書きためた曲を世の中に出すためにはデモテープというものを作ります。

そしたデモというものが、今でも沢山残っております。

そのほかピアノの弾き語りのデモなんですが。
60年代の末に出たと思われるジム・ウェッブ・ソングブックという2枚組のプロモーション用のアルバムがLPがございまして。

何にも書いてないんですけど。
これ2枚組なんですけど、これの3面と4面に針を落としますと、突然、既成の・・
例えばFifth Dimension の既成の曲のあとに、突然ジム・ウェッブのですね(笑)・・
ピアノの弾き語りが登場しまして。

それが全部で8曲聴くことができます。

今日は、その中から1曲。
せっかくですから、後にレコーディングされてるものを聴いてみましょう。

後に1971年に自分のアルバム『And So:On』に収録致しますが。
その後に1978年の、先週もお聴きを頂きましたアート・ガーファンクルのアルバム「ウォーターマーク」に収録されます。

それの一番元のデモ音源だと思いますが、60年代末の録音だと想定できます。
ジミー・ウェッブのデモバージョンの「マリオネット」
せっかくですので、アート・ガーファンクルの78年のバージョンを続けてお聴きを頂きましょう。

♪ Marionette (Demo)/Jimmy Webb
♪ マリオネット/アート・ガーファンクル

◎本人は全く納得をしていない 

達郎氏:

70年に『JIM WEBB SINGS JIM WEBB』というコロンビアからソロアルバム、ファーストソロアルバムですが、リリースされますが。

これは当時のデモテープを勝ってに出されたというものらしくて。
本人は全く納得をしていないという。

実際に私もこれは、昔聞きましたが。
歌は決して上手いとは言えませんのでですね。
今日はかけませんが。

60年代のジム・ウェッブは、そうした自分で歌ってる作品がいくつかあるんですが。
本格的なシンガーソングライター始める前なんですが。

一番出来のいいのがダンヒルで1968年に発売されましたリチャード・ハリスに提供した曲のオケをそのまま使って自分で歌っている「One Of The Nicer Things」という。

これ、何故か奇跡のように日本版が出たんですよ。
僕その当時、日本版出た時に買ったんですが、日本題が「想い出のきずな」というですね。
東芝が、まだダンヒルレーベル持ってる時代の・・

で、この時はもうジミー・ウェッブになってますね。
だからシンガーとしていくときはジミー・ウェッブになったんですかね。
判りませんが。

♪ One Of The Nicer Things/Jimmy Webb

曲かかってる時、資料見ましたらジム・ウェッブこっちのバージョンが先ですね年代的に。
リチャード・ハリスが1年あとに出てますね。

◎リスナーからのお便り(兵庫県加古郡のS.Mさん) 

達郎氏:

先週も申しましたように、この頃はほんとに売れっ子で。
映画のオファーというのが、沢山来まして。

そんなうちの一個でございますが。
1973年、雑誌プレイボーイがレコード業界と音楽業界に進出したときに作られました映画・・
たぶんこれ、日本未公開だと思いますが。
このスコアをジム・ウェッブが担当して2曲歌っております。

そのオリジナルサウンドトラックから「Fingerpainting」

♪ Fingerpainting/Jimmy Webb

ジム・ウェッブ歌うところの「Fingerpainting」という一作でございました。

~ CM ~

◎来週 

達郎氏:

3月は結局全部、ジム・ウェッブの特集で終始してしまいました。

来週は4月、新年度でございますので、いろいろと会社とか学校とか新しくなって。
住まいが変わってラジオをつけたら見知らぬ番組があったという、そういうのがありますので。

来週は棚からひとつかみで。

ここひと月間、たまりに溜まったお便りがたくさんございますのでですね。
そういうのをご紹介しつつ。

引き続き、リクエスト、お便り、たくさんお待ち申し上げております。
新年度も変わらずサンデーソングブック、この時間で継続いたしますので。

102-8080
東京FM『山下達郎サンデーソングブック』の係

◎リスナーからのお便り(山口市のI.Iさん) 

『先日の放送で確定申告はご自分でやっておられるようでしたが、山下さんのような方は税理士さんに任せておられるだろうと思っていたので、ちょっと以外でした。』

達郎氏:

「意外」のいがいが違いますよ。
「以外」になってますよ(笑)

ちょっと言葉が足りませんでしたね。
もちろん税理士さんにお願いしますが(笑)
でも領収書の項目とか整理は自分でやんなきゃダメなんです。

領収書をまとめて、税理士さんに渡すという、そういうことです。

自分でそんな事できません。

税金たいへんです・・頑張って下さい。
もう終わったか・・ん。

◎エンディング 

達郎氏:

只今お聴きを頂きました「Fingerpainting」という・・
これも今はピアノのデモが残っておりますが。
それをかけてもいいんですけども。

もののついでですね、先ほどお聴きを頂きましたアート・ガーファンクルのマリオネットが入っております1978年の「ウォーターマーク」というアルバム。

全曲、ジム・ウェッブの作品で占められれているんですが、1曲だけ何故かですねサム・クックのカバー曲「ワンダフル・ワールド」これジェームス・テーラーとポール・サイモンが一緒にやって、大ヒットしまして。

これが1曲だけ入ってるのでですね、長いことこれは・・ヒット曲なのでこれは無理やり入ったんだと、思ってましたけども。

何年か前に、人から聞いて・・・
実はこれは、もともと「ウォーターマーク」というアルバムは全曲ジム・ウェッブで網羅されていたんですけれども、これが「ワンダフル・ワールド」がヒットしたために、この曲が一曲入ったと。足された代わりに、1曲差し替えられてしまったんですね。

それがまさに先ほどお聴きを頂きました「Fingerpainting」という曲でありまして。

オランダでテストで1回発売されたんだそうです。
77年に。

それで、すぐにそれが回収されて、この現在我々が聴くことができる「ウォーターマーク」のバージョになってきたんだそうです。

曲順も違うというですね。

ですので、それは非常にレアなもので、私も実際持ってませんけども。
昔、友達にDATでコピーしてもらった音の悪い音源がございますのでですね。

今日はそれをお聴きを頂きたいと思います。

完全に巷で聴くことが、今叶いませんのでですね。
貴重だと思います。

アート・ガーファンクルが歌う「Fingerpainting」

♪ Fingerpainting/Art Garfunkel

アート・ガーファンクルが歌う「Fingerpainting」、ボツになったテイクでございますが。

◎レッキング・クルー 

達郎氏:

さて、ここ5週間お聴きを頂ければ、お判りの通り、ジム・ウェッブの初期の作品はですね、いわゆるレッキング・クルーと言われるカリフォルニアのスタジオミュージシャンの力なしにはですね、とても成り立たなかったということが、よくお判りになると思いますが。

そんな中でも、とりわけドラマーのハル・ブレインという人は、非常に貢献度が高い人なんですが。

ちょいと番外編としまして、ジム・ウェッブのプロデュースしたハル・ブレイン名義のシングル「Hal Blaine His Drums & Orchestra」と銘打ってありまして。

68年、ダンヒルレーベルから発売されました。
タイトルが「Allegro From MacArtur Park」という。
MacArtur Parkのアップテンポの部分を引っ張りだして、これをアレンジ、コンダクト、プロデュース、ジム・ウェッブで展開してるというですね。
恐ろしい一作でございますが。

実はこの「Allegro From MacArtur Park」
「MacArtur Park」がヒットしましたので、そのインストバージョンというのが結構、やっぱり出そうというですね。
ダンヒルがそういう目論見がありまして。
この直後にモンク ヒギンスで「MacArtur Park」シングルカットしておりまして。

ほんとはそれ、かけたかったんですけど・・
まだシングル、これも注文したのに来なかったんですね。
3週間待ったんですけどね、来なかったんです。

なので、その代わりと言ってはなんですがピアニストのReg Wilsonという人がいますが、この人が、「His piano & Orchestra」という全く同じなんですが、ユナイテッドアーティストから出ました。

やはり同じタイトルで「Allegro From MacArtur Park」というですね。
やはり68年に、こんなシングル出しておりまして。
ジャズ・ミュージシャンにも実験性というのが認められたんだという証拠だと思いますが。

♪ Allegro From MacArtur Park/Hal Blaine

♪ Allegro From MacArtur Park/Reg Wilson

なんでこれ、かけたかといいますとですね、如何にこのハルブレインというレッキングクルーの演奏力がすごいかというですね。

同じアプローチでも全然フレッシュさというか、あれが違うという。
それがお聴きを頂ければ十分でございます。

◎エンディング

達郎氏:

というわけでジム・ウェッブ特集、5週間にわたってお届けしましたが。
まだ全然あれですね・・・
『The Last Unicorn』もかかってないし。

いろいろありますが、ま、だいたいのところのアウトラインはお判り頂けたかと思います。

特に70年代入ってからは、もう圧倒的にバラード、バラードでありますが。
まったりした感じの曲ばっかりになりますが。

現在でもまだ現役で歌っております。
いつまでもお元気でですね・・・
20世紀を代表するソングライターでございますので。
いつまでもお元気で。

日本の片隅から応援しております。

というわけで最後の曲ですが、何をしようかと思ったんですが。
私のとりわけ好きな一曲。
1972年のジム・ウェッブのアルバム「レターズ」に収められております。

「Piano」という曲があります。
いかにもミュージシャンらしい一曲でありましてですね。

これのデモバージョンってのがですね2004年にライノから出ました。
70年だのジム・ウェッブの作品を全部CD5枚組に詰め込んだボックスセットというのが出ました。

この中に、ピアノのデモバージョンが入ってます。
これが素晴らしいので、今日はこれを最後にかけたいと思います。

”最後の日が来た
もう別れを告げる相手もいない
残されたのはお前だけだよ ピアノ

どうせ 聞いちゃいないんだろうし
聞こうともしないだろうけど
お前のために一曲捧げるよ

いつもこんな感じだったよな
お前がそこにどっしり構え
大きな口を開けては 馬鹿みたいに笑ってる前で
俺は椅子をくるくる回していた

最期の歌を君に捧げよう
一晩中起こしておくつもりはないんだ
だからメゾピアノの優しいナンバーにするよ

俺もなんだか疲れたんだ
しゃんと背を伸ばすようには し この歌を捧げるよ
にこやかに笑いながら 一緒になってこの歌を歌おう

一緒に優しく終末の音楽を奏で
そして俺たちはゆっくりと ゆっくりと消えていく”

ジム・ウェッブ5週間特集しました。
ご清聴ありがとうございます。

♪ Piano (Demo)/Jimmy Webb

今週のオンエア曲

14:06 I Can’t Get It/The Midnight Mail
14:08 Love Years Coming/Strawberry Children
14:13 Marionette (Demo)/Jimmy Webb
14:14 マリオネット/アート・ガーファンクル
14:18 One Of The Nicer Things/Jimmy Webb
14:22 Fingerpainting/Jimmy Webb
14:29 Fingerpainting/Art Garfunkel
14:34 Allegro From MacArtur Park/Hal Blaine
14:38 Allegro From MacArtur Park/Reg Wilson
14:43 Piano (Demo)/Jimmy Webb

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