山下達郎さん サンデーソングブック 2009年7月12日「モータウン特集・アーカイブス第4回目」

山下達郎さんのサンデーソングブック「モータウン特集・アーカイブス」第4回目の放送をテキスト化しました。

恥ずかしながら「モータウン」っていう音楽は、ほとんど興味がありませんでしたが、この4回の放送を聴くことによって、”ああ、この曲もそうだったのか”っていうのが何曲かあり、「ちょっと聴いてみようかな」という気持になりました。

なんとか4回分、テキスト化しました。
まるで写経のように。

いつか、これを振り返る時が来るかな?

誤字脱字はご容赦ください。

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ここんとこ4週間を使いまして13年前の企画の再現番組、モータウン特集・アーカイブスをお届けしてまいりました。今日はその最終回パート4でございます。

超駆け足でしたので、ご説明する上で言葉が足りなかったり不十分だったりしまして、至らぬところ多々ございましたけれども、何卒お許しを頂きました。
それでも極力まじめなプログラム作りで攻めてみたつもりでございます。

今回の特集はお陰さまで13年前を上回る大きな反響をいただきました。
全国でこんなに私の、このプログラムを聴いておられる方がいらしたのかと、感動しきりであります。
ラジオもまだまだ捨てたものではございません。

この4週間はずーっと特集でしたので、私,山下達郎関係の情報、無駄話、そういうようなものを楽しみにされている方がたくさんいらっしゃいまして、数週間はそのような関係の話がトンとできませんでしたので、来週からは毎年恒例であります、納涼リクエスト大会でございますので8月末の、これも恒例の竹内まりやさんゲストの納涼夫婦放談とあわせまして、へんてこな話は来週からたっぷりゆっくりさせていただきます。

今日はモータウン特集アーカイブス、最終回でございますので、ずばりマイ・フェバリット・モータウン。私の好きなモータウンのヒットソングの数々、あまり知られてない曲もちょっとづつ混ぜまして、私のずーっとモータウン聴いてきて、本当に心の底からいいなと思う曲を今日は並べてみました。

今日はモータウン特集アーカイブス・パート4、ラストでございます。
マイ・フェバリット・モータウンで55分お楽しみいただきたいと思います。

山下達郎、ジャックスカード・サンデーソングブック、日曜日の午後のひと時、今日はモータウン特集アーカイブス・パート4。モータウンのヒット曲、あんまりヒットしてない曲、でも名曲の数々をお聴きをいただきたいと思います。

まずは、これは中学の時ラジオで聴いて、ほんとに涙を流すくらい感動して、今でもイントロが出るとグッとくる曲でございます。
イントロから、エンディング、フェードアウトまで名曲中の名曲だと思います。

1966年、フォートップス、全米No.1。
おなじみ、リーチアウト アイルビィ ゼア。

14:05 Reach Out I’ll Be There / The Four Tops

(CM)

14:10 It’s A Shame / The Spinners

山下達郎がお送りしておりますジャックスカード・サンデーソングブック。
モータウン特集アーカイブスで4週間お届けしてまいりましたが、今日はその最終回。
ずばり、マイ・フェバリット・モータウン。
私の好きなモータウンの名曲の数々をいっぱい聴いていただこうという企画でございます。

お知らせを挟んでお聴きをいただきました。これも超有名曲、ザ・スピナーズ、1970年のヒットソング「It’s A Shame 」。
作曲、Produced by スティービー・ワンダー。

このあと、フィラデルフィアに行きましてさらに大成功を収めるんですが、ボーカルグループとしましては、このモータウン時代、特にこのGCキャメロンがリードボーカルの時代が断然魅力的でございます。

名曲「It’s A Shame 」。
いろいろなヒップホップのサンプリングにも使われております超有名なイントロでございます。
今でも日本でもよく知られた曲となりました。
最近の紙ジャケで出たアレなんですけど、もうモータウンのマスターが劣化して音が悪いので精一杯、プロセッシングで改善しておりますが、ちょっとイントロの音が飛んだりするのはオリジナルマスターでございますのでご容赦いただきたいと思います。

つづきましてはこれも名曲。オリジナルズ、1969年の「Baby, I’m For Real 」。

14:14 Baby, I’m For Real / The Originals

60年代にモータウンからデビューした人達の大部分がデトロイト出身ですけれども、このグループもそうです。
デトロイト周辺で活動していた4人組の男性ボーカルグループ、オリジナルズ。

69年に待望のヒットソングが出ました。「Baby, I’m For Real」という。グループのプロデューサーでもございましたマービン・ゲイの手になる曲でございます。
さきほどの「It’s A Shame」と同じアレンジはポール ライカー??

発売した当時はR&BチャートNo.1。全米14位。さらにその後長い間じわじわとこの曲人気が上がりまして、今では色んな人がカバーしてスタンダードナンバーとなっております、オリジナルズ「Baby, I’m For Real 」でございました。

こうしたベタな曲オンエアしておりますとですね、”なんだヒット曲ばっかりじゃないか”と文句言われるオタクの方もいらっしゃるんですが、モータウンというのは大メジャーですので、ちょっとでもいい曲は全部シングルカットされる、それをしかも売ってしまうというね。

最近ではモータウン関係のリアリティーズとか、未発表音源とか結構出てるんですが、正直申し上げてあまり面白い曲は少ない。モータウンで名曲といわれているのは、殆ど全部ヒットした曲ばっかりでして。

これって実は凄いことなんですけども、いままでの3曲も発売されたときにラジオで聴いて私本当に死ぬほど感動した曲ばかりでございまして、何物にも代えがたい。

などと言ってるぞばから、アルバムの中の曲を一曲。
テンプテーションズのアルバム、たくさんあるテンプスのアルバムの中で私が一番良く聴きましたのは1965年「テンプティン」というタイトルのアルバムですが、シーズ・マイ・ロスト・ベイビーというヒットソングがA面の1曲目に入っております。

ここから続くA面の流れというのはとっても好きで良く聴いておりました。
このA面の2曲目に入っておりますエディ・ケンドリックスのリードがとってもすばらしい「The Girl’s Alright With Me」

14:19 The Girl’s Alright With Me / The Temptations

私が高校生の頃、私の友人のお兄さんが、このアルバムを、テンプティンというテンプテーションズのアルバムを、しかも何故か輸入盤を持っておりまして、そのお兄さんからお皿をもらいましてですね、ほんとに擦り切れるほど聴きました。

曲のコード進行とかアレンジというものは当時すごく珍しくて新鮮で、それをコピーしたりしましてですね。
ですから自分がプロになってから曲を作る場合に、こういうところから有形無形の影響を受けているなと、今聴いても、そういう気がいたします。

テンプテーションズ 1965年のアルバム、テンプティンから「The Girl’s Alright With Me」。
エディ・ホーランドとノーマン・ホイットフィールドと、それからリードシンガーのエディ・ケンドリックス自身の三者による共作という珍しいラインアップでございますが、エディ・ケンドリックスによるすばらしいボーカルでございました。

お知らせの前にもう1曲。

13年前は、ここでマービン・ゲイとタミー・テレルの、これも超有名曲でありますエイント・ノーマウンテン・ハイ・イナフをかけたんですが、先々週のパート2をお届けした、その時最後にジャクソンファイブのアイ・ウォント・ユー・バックをおかけした時に、私、マイケルジャクソンへのコメントを申し上げました。

マイケルジャクソンというのは誰もが認める不世出のアーティストでありましたけれどもマービン・ゲイ同様、アメリカ芸能界の地獄で燃え尽きてしまいましたと、このコメントに対して驚くほどたくさんのお便りとハガキをいただきました。

同時に多くのリスナーの方々がですね今回のマイケルジャクソンの死に対するメディアの興味本位の反応とか、音楽不在の報道姿勢に、そうした疑問を述べていらっしゃいます。

これにつきましては、吉岡正晴さんがご自身のブログで実に的確なコメントを載せていらっしゃいます。
ご本人の許可をいただいて、ちょっとご紹介します。

”アメリカのメディアはまだしも、日本のメディアは、マイケルが音楽、エンタテインメントの世界で成し遂げたことをまったくといっていいほど紹介しない、紹介しなければ、評価のしようもない。数字だけ並べればいいというものではない。彼がなぜこれほどの宇宙一のスーパースターになったのかを正しく説明できなくては特集番組をやってもまったく意味がない。

この国のメディアは、アート、エンタテインメントに対して口先だけは評価するようなことを言うが、真にその意味を理解していないようだ。マイケル・ジャクソンはメディアの最大の生贄(いけにえ)になったアーティストである”

ま、この、我々の国に文化がないっていうのは、私が若いころから申し上げているお題目ですけれども、こういうときに更に痛切に感じます。誠に残念なことです。

ま、それはともかく、マイケル・ジャクソンが本当の意味で実力を開花させるのはアルバム「オフ・ザ・ウォール」からであることは論を待ちません。
自作の「ドント・ストップ」をはじめ「ロック・ウィズ・ユー」など名曲ぞろいですが、私はとりわけ「シーズ・アウト・オブ・マイ・ライフ」という曲で、マイケルが泣きながら歌う、それにものすごく感じ入ったのを記憶しております。

という訳でマイケル・ジャクソン、1979年のアルバム、「オフ・ザ・ウォール」から「シーズ・アウト・オブ・マイ・ライフ」

14:24 She’s Out Of My Life / Michael Jackson

(CM)

山下達郎がお送りしておりますジャックスカード・サンデーソングブック。4週間に渡りましてモータウン特集アーカイブスお届けしてまいりましたが、今日はそのラスト、マイ・フェバリット・モータウン。
山下達郎が今まで長いこと聴いていたモータウンの名曲の中から私が好きな曲をお聴きいただいております。

番組の冒頭でも申し上げました8月19日、山下達郎ニューシングル発売決定でございます。
8月1日から公開の劇場版アニメーション映画「サマー・ウォーズ」、これのテーマソングでございます「僕らの夏の夢」、そしてTBS系テレビの夕方から「総力報道・ザ・ニュース」というニュース番組のテーマソングでオンエアされております「ミューズ」、これに去年から今年にかけてのライブPerformance 08-09でのライブバージョン「アトムの子」、3曲入りのダブルAサイトシングルとして8月19日に発売でございます。

来週7月19日のサンデーソングブックで「僕らの夏の夢」、初オンエアさせていただく予定でございます。

さて、それでは後半いってみたいと思います。
これも私が大好きな一曲でございます。
1968年の、これはどちらかといえば隠れた名曲というものでございますが、ボビー・テーラー&ザ・バンクーバースというボーカルインストロメンタルグループのヒットソング「Does Your Mama Know About Me 」。

14:31 Does Your Mama Know About Me / Bobby Taylor & The Vancouvers

ボビー・テーラー&ザ・バンクーバース、殆どがデトロイト出身のミュージシャンばっかりだった当時のモータウンにしては珍しく、その名の通り、リーダのボビー・テーラーはカナダのバンクーバ出身。
グループは黒人白人混成のボーカルインストロメンタルグループでありました。

ベーシストでこの曲の作者としてもクレジットされておりますトミー・チョン、この人は後にチーチ&チョンのメンバーとなる、あのトーマス・チョンであります。”Does Your Mama Know About Me ”という1968年の当時はラジオで良くかかっていていい曲だなと思います。

これも立派なモータウンのヒットソングでございます。
Produced By ベリー・ゴーディであります。
こう書いてまいりますと、やっぱり私、16、7の一番、こう感受性の強い時の曲がほとんどですね。
特に前半の「It’s A Shame 」とか、あのへんはオリジナルズとか、これなんかもそうでうが、そういう時にラジオで聴いて感銘を受けたという青春時代の曲でございますが。

今回の特集はほぼすべて60年代のモータウンに限ってお聴きをいただきました。
70年代に入りますと、もう、とっちらかってまいりまして、とても収拾がつきません。
4週間じゃ、どうにもなりませんし、我々にとってのモータウンサウンドというのはモータウン本社がデトロイトにあった間、1970年代の初頭までが厳密な意味で我々が今日モータウンと呼ぶものだという解釈で、私はいますので、60年代に限った特集でお送りしました。

70年代のモータウン生え抜きのミュージシャンたちは、相変わらず活躍しております。
スティービー・ワンダー、マービン・ゲイ、ダイアナ・ロス。
ただそういう人たちはモータウンというムーブメントの中ではなくて、彼らの個人的な才能がそれを継続させたという、そういう質でございますので、モータウンというレーベル、レコード会社、インディーレーベルから始まって一世を風靡しましたモータウンサウンドというものは大体70年代の頭まで、という解釈が妥当だと思います。

そうは申しましてもですね、私は例えばスモーキー・ロビンソンとかそういう人たちを好きだったので、70年代はもちろん80年代になっても、ずーっとレコードを買い続けておりました。

特にスモーキー・ロビンソンとかスティービー・ワンダーとか、70年代に作った作品は60年代に勝るとも劣らない、というか、時にはそれ以上のものがたくさんあります。
スティー。

今日はスモーキー・ロビンソンの1978年のこの1曲。
数あるスモーキー・ロビンソンの中でも、私が最も愛する1曲であります「Daylight & Darkness」。

14:36 Daylight & Darkness / Smokey Robinson

80年代の末にスモーキー・ロビンソンが来日した時に、私、追っかけ状態で全公演くっついて回りまして楽屋まで押しかけてサインまでもらったんですが、そのときに持っていったのが「ラブ・ブリーズ」という1978年のこのアルバムにサインしてもらいました。

何故かというと、この「Daylight & Darkness 」が入っているからでありまして、そんな思い出がありますスモーキー・ロビンソンの大好きな1曲であります。あ

もう1曲、先ほどコメント入れさせていただきました吉岡正晴さんにお礼の意味で、彼からのリクエスト曲。
Stevie Wonder、1971年のアルバム「Where I’m coming from」から先日のマイケル・ジャクソンの追悼セレモニーで歌われました「Never Dreamed You’d Leave In Summer」。
”君が夏に去って行ってしまうなんて夢にも思わなかった”という曲をどうぞ。

14:40 Never Dreamed You’d Leave In Summer / Stevie Wonder

Stevie Wonder、「Nver Dreamed You’d Leave In Summer」でございました。

というわけで4週間にわたってお届けしてまいりましたモータウン特集アーカイブス、そろそろお別れの時間でございます。
いかがでしたでしょうか。正直申し上げて、一ミュージシャンには少々手に余る企画でありますのでプログラムの充実さにつきましてはこころもとないところですが、意欲だけは汲んでやってください。

モータウンというものの定義は、まぁだいたいこんなものだというところでございます。
この次はスタックス・ボルトをはじめとするサザンソウルの歴史をたどってみたいと思っております。

来週からは毎年おなじみ、納涼リクエスト大会、8月末には、これもおなじみ竹内まりやさんゲストに納涼夫婦放談でございます。来週からはリクエスト大会でございますのでリクエストお便りたくさんお待ちしております。

あとですね、私、先週番組中でですね、自分の家の加湿器がへたってしまったと申し上げましたが、夏なので加湿器ではなく、当然除湿機がへたったと、加湿器と除湿機を間違えてしまいました。

あと、エジソン・ライトハウスがラブ・グローズ、邦題「愛の炎」と申し上げましたようでございますが、もちろん「恋の炎」でございます。台本無いので、すいません、ときどきそんな間違いがあります。
お詫びして訂正申し上げます。

そんなわけで、モータウン特集アーカイブス、最後の曲は、これこそ私の Favorite。
ラジオから流れてきたときに、ほんとに震えるほど感動しましてですね。
日本では、当時なかなかリアルタイムにレコードが出ませんで、今か今かと待って買いました。

その当時は輸入版がまだなくて日本版でしか買えなかった時代でありますので、シングルもアルバムも日本版で買って持っておりますけれども、この1曲は60年代的な意味でのモータウンというもののひとつの終焉、
それからブラック・ミュージックにとっての一つの転換期、時代を象徴する1曲だったような気がします。

モータウン特集アーカイブスの最後はマービン・ゲイ、1971年の「What’s Going On 」。
この「What’s Going On 」を今日おかけするのでですね、オリジナルのシングルのステレオミックス、私がシングル盤を買ったときのステレオミックス、を家にあるマービン・ゲイというマービン・ゲイのアナログCD全部探したんですが、全部シングルバージョンはモノラルだったんです。

それからステレオは全てアルバムに入っておりますナレーションから始まるもので、この私の一番最初に聴いたシングルのステレオミックスというのは、どっこにもない。

もし、これがCD化されている場所をご存じの方は、是非お教えいただきたいと思います。
そういうわけで、今日は私がその時に買った日本版のオリジナルシングルからおかけしたいと思います。
「What’s Going On 」。

14:46 What’s Going On / Marvin Gaye

END




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