すっかり秋の気配となりました。
長崎市内も街路樹の紅葉がきれいです。
達郎さんにとってサックスの命は「音色」
一緒に演奏してきた歴代のサックスプレイヤーの理由が分かりました。
ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックの一部を文字お越ししています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。
- 冒頭
- もうこの頃からスタイルが完成しております
- 「RIDE ON TIME」のアルトと同じ音がしております
- ブラジルに対するアプローチをもう一曲
- きちっとした土岐さんの演奏形態をお聴きいただきます
- FM FESTIVAL 2021「竹内まりや RADIO Turntable presented by 楽天カード」
- リクエストおたより、たくさんお待ち申し上げております
- 土岐さんとの出会い
- スタジオで8小節吹いて帰ってもらうスタジオ・ミュージシャンというのは・・
- 土岐さんのスタンダードの選曲は不思議な曲ばっかり
- サックスは音色です!
- 土岐さんのライブ昔よく観に行きましたアルフィーの空気が思い出されます
- エンディング
- 今週のオンエア曲
冒頭
達郎氏:
11月に入りました。
残りも、あとわずかになって参りました。
今日は前倒しなので。
暑いだの、寒いだの、申し上げられないのが残念でございます。
でも、11月・・・・
冬の気配が近づいてくる・・そういう感じでございます。
レコーディングがちょっと、詰まってきて参りました。
ちょっとエンジンかけてるかな、という感じでございます。
先週、先々週と「ベタリク」でお届けしました。
たくさん、お便りを頂きまして、ありがとうございます。
で、今日はガラッと変わりましてですね。
ずーっと気になっておりましたが。
サックスの土岐英史さん、お亡くなりになりまして。
私は土岐さんとは、もう何年だ?
40年・・40年以上だ。
40年以上いっしょにやって参りましたが。
意外なことにですね、レコーディングよりライブの方が、圧倒的に多い・・
レコーディングに参加した曲が、それほどめちゃくちゃ多いわけではないので。
むしろライブで一緒に行動を共にした方が多いので。
そうした思い出とか、そういうものと一緒にですね、今日は土岐さんの追悼特集、いってみたいと思います。
ですが、この番組のリスナーの方にとっては、土岐英史さんというのは、私のアルバムとかライブでの演奏でおなじみの方が多いと思いますが。
土岐英史さんは、本来、純粋なジャズのサックスプレイヤーであります。
ソロ・アルバムもたくさんあります。し、参加したセッションもたくさんございます。
その間に、いわゆる歌バンと呼ばれる、歌モノのレコーディングの間奏でありますとか。
それから私のライブをはじめ、いろいろな人のライブの手伝い・・・
そういうようなものを、やっておりますが。
本来はジャズのサックスプレイヤーであります。
ですので、こうした追悼特集やると、皆さんは私の作品の土岐さんのプレイを想定されていると思いますが、そういうことしません。
間奏までサックス・ソロ待って曲を聴くって、土岐さんの本意ではないので。
ですので、土岐さんのデビューしたころからのソロ作品を中心にですね。
今日は純粋にジャズのプログラムで。
曲もちゃんとした長さでお聴きをいただきますし。
土岐さんのジャズ・サックスプレイヤーとしてのソロ・プレイをですね、レコードの中から・・
ただ、曲によっては7分、8分長いのもありますので。
なるべくコンパクトにまとまった演奏の中から今日は選んで。
それでも、すばらしいプレイたくさんありますので。
そうした中から選んで、お届けしたいと思います。
今日は、すごく、先週、先々週とは打って変わって・・
まじめなプログラムでございます。
土岐のオヤジは喜ぶと思います。
というわけで今日は、日曜日の午後のひと時・・・
ちょっと・・時間は夜の方がいいかもしれませんけれども。
ジャズの時間になります。
本物のモダンジャズの時間になります。
お楽しみいただければ、幸いであります。
日曜日の午後のひと時、ジャズでお楽しみいただきます。
『土岐英史 追悼特集』
本日はジャズのスタンダード・ナンバーの珠玉のプレイと、そして最高のリマスタリングでお届けしたいと思います。
山下達郎サンデーソングブック。
その前に。
竹内まりやさんと杏里さんがユニットを結成しまして。
「Peach & Apricot」
相葉雅紀さん主演のドラマ『和田家の男たち』
テレビ朝日でただいま放送中でございますが。
これの主題歌であります「Watching Over You」
配信限定シングルとして先週から配信スタートしております。
作曲は林哲司さん
作詞が竹内まりや
70年代、80年代テイストいっぱいの作品でございます。
私もギターで参加しております。
なので配信スタートしたばっかりの新曲をお聴きいただきたいと思います。
「Peach & Apricot」しかしてその実態は竹内まりや&杏里
「Watching Over You」
♪ Watching Over You/Peach & Apricot
~ CM ~
もうこの頃からスタイルが完成しております
達郎氏:
山下達郎がお送りいたしておりますサンデーソングブック
それでは、本日は、先日6月26日に亡くなりました土岐英史さん・・
私のなが~い友人でございますが。
土岐のオヤジの追悼特集をやってみたいと思います。
1950年生まれ
昭和25年生まれ
大阪音楽大学のあとにフル・バンドのリード・アルト宮間利之とニューハード。
それからいろいろとセッションを重ねまして1975年に実質的なリーダー・アルバムを発表します。
『TOKI』という、そのままズバリ。
パーソネルは土岐英史さんのアルト、ソプラノ・サックス、
ギターが渡辺香津美さん、
ベースが井野信義さん、
そしてドラスがスティーヴ・ジャクソンというカルテットの自分が好きな編成で。
今日お聴きを頂く曲はですね「When Sunny Gets Blue」という56年に作られましたスタンダード・ナンバーです。
ナット・キング・コールで有名な一曲でございます。
もうこの頃からスタイルが完成しております。
♪ When Sunny Gets Blue/土岐英史カルテット
土岐英史さん、ファースト・リーダー・アルバム「TOKI」
Hidefumi Toki カルテット
「TOKI」というアルバムから「When Sunny Gets Blue」でありました。
その後の40代、50代のプレイに比べますと、おしゃべりなあれですけれど。
既にもうスタイルが固まっております。
「RIDE ON TIME」のアルトと同じ音がしております
達郎氏:
時あたかも・・・
ダジャレじゃありません。
まじめな話・・・
時あたかも、70年中期はですね、それまでのストレートジャズから、だんだんこう・・
いわゆるフュージョンと言われるですね、いろいろとクロス・オーバーしていく音楽シーンになってまいります。
そんな中でスタジオ仕事でありますとか、人とのセッションとか、そういうものを、たくさんこなしていく中でですね、だんだん知名度が上がっていくわけですけれど。
昔から土岐さんは、ブラジル音楽にものすごく傾倒しておりまして。
そういうアプローチもたくさんありますが。
そんな中でですね、ピアニストの松岡直也さんとのセッションが、とってもたくさんあります。
そういう中で、名盤と呼ばれておりますが、1980年に発表しました松岡直也&土岐英史のクレジットによります『PACIFIC JAM』というアルバムがあります。
この頃になりますとフュージョン色が強くなってきております。
そのアルバムの中から「TOYLAND」。
♪ Toyland/Naoya Matsuoka & Hidefumi Toki
この時期、かなり一緒に密接に付き合っておりましたドラマーのレオン・チャンクラー
それからバイロン・ミラーのベース
デヴィッド・T・ウォーカーの珍しく速弾きのソロ。
いい演奏でございます。
1980年8月のレコーディングなので、私の「RIDE ON TIME」の後なので・・
同じ音がしておりますアルトの・・(笑)
ブラジルに対するアプローチをもう一曲
達郎氏:
そうしたブラジルに対するアプローチをもう一曲。
翌年1981年に来日しているブラジルのミュージシャンとセッションをしまして。
土岐英史& SAMBA FRIENDSというクレジットで、ズバリ『BRASIL』というアルバム・タイトルで出しましたアルバム。
1981年のアルバムですが。
この中に入っております、ジョアン・ドナートとジョアン・ジルベルトによる一曲「MINHA SAUDADE」。
♪ ミーニャ・サウダージ/土岐英史とサンバ・フレンズ
達郎氏:
この時代が一番、土岐さんと一緒にいた時代で、ずーっとツアーやっていた時代なので。
音がですね、この時代の音なんですよ(笑)
それがすごく懐かしいと言いましょうか(笑)
まぁ、毎日ツアーやっちゃぁ酒飲んで、喋って、あるときは喧嘩してという・・
そういう時代でありました。
そういう中で、アルバム何枚も作っております。
このサンバ・フレンズのメンバーはライヴに連れてきたこともありますけれど。
ポルトガル語で喋っているのかと思ったら、全然ポルトガル語が通じないと言われて・・
なんかそういう話をしておりました(笑)
雑談でございます(笑)
~ CM ~
きちっとした土岐さんの演奏形態をお聴きいただきます
達郎氏:
先日、6月にお亡くなりになりました土岐英史さん。
僕の古くからの友人ですけれども。
今日は、土岐英史さんの追悼特集ですが。
土岐英史さんは冒頭にも申し上げました通り、例えば歌手のライヴのですねバックでありますとか、スタジオ・ミュージシャンで間奏を吹くとか、そういうミュージシャンとは違いまして純粋なジャズのソロ・プレイヤーであります。
ですので土岐英史さんの追悼特集はですね、そうした歌ものかけても、あまり土岐さん喜ばないと思いますので、土岐さんのソロ作品、リーダー・アルバム、それから参加したセッションの、そういう作品で、きちっとしたですね、演奏形態をお聴きいただいております。
いつもと全く違うプログラムでございますが、今、radikoがありますので夜にお聴きいただくと、もうちょっとまたしんみりしていただるかと思います。
FM FESTIVAL 2021「竹内まりや RADIO Turntable presented by 楽天カード」
達郎氏:
先日11月3日(水)、文化の日に放送されました、竹内まりやさんと途中で私が参加いたしました「レコードの日」の特別番組
FM FESTIVAL 2021「竹内まりや RADIO Turntable presented by 楽天カード」。
11月10日までradikoのタイムフリーでお聴きをいただけます。
お聴き逃しの方、もう一度お聴きになりたいという方、ご利用ください。
また音声アプリ「AuDee(オーディー)」、これにて「AFTER FM FESTIVAL 2021」というスペシャル・コンテンツを配信しております。
ひと月限定で12月3日(金)までお聴きをいただけます。
WEBで「AuDee」と検索してアプリダウンロードいただき、お楽しみください。
リクエストおたより、たくさんお待ち申し上げております
達郎氏:
リクエスト、おたより、引き続きたくさんお待ち申し上げております。
ハガキの方は
〒102-8080
TOKYO FM 山下達郎サンデーソングブック
ウェブサイトからは https://www.tfm.co.jp/ssb/
よろしくお願いします。
土岐さんとの出会い
達郎氏:
土岐英史さんとの出会いは1976年ごろまで遡りますが。
村上”PONTA”秀一さんと高水健司さん、それから大村健司さん、益田幹夫さん、このユニットで土岐さんがサックスを吹いていたところで知り合って。
いろいろ紆余曲折を経まして、自分が本格的な全国ツアーをやるときに土岐さんに声をかけましてですね。一緒にやってもらうことになりました。
スタジオで8小節吹いて帰ってもらうスタジオ・ミュージシャンというのは・・
達郎氏:
いわゆるスタジオ・ミュージシャンのホームのプレイヤーっていうのを、僕はライヴで使ったことがありません。
全部ジャズ・クラブで毎日吹いているような、そういう人たちに、自分のライヴをお願いしてきました。
その理由はですね、シュガーベイブ時代に所属していた事務所が、マネージャー同士が作った事務所でありまして。
山下洋輔さんのマネージャーと、それから向井滋春クインテットのマネージャーと、それから古澤良治郎クァルテットのマネージャーと、そしてシュガーベイブのマネージャーってのが一緒に組みまして事務所を作りました。
ですので毎日、毎日、そういう人たちのジャズ・クラブで演奏を見ておりまして。
もともとジャズは好きで、ピット・インとかですね、高校の時からみておりましたので。
そうした現場のジャズクラブのジャズというのは、僕にとってはジャズなので。
スタジオで8小節吹いて帰ってもらうスタジオ・ミュージシャンというのは、あまりですね・・しっくりこなくて。
自分のライブやるときにも、今までもずーっとですね、そうした現場で演奏してるホーンの人に頼んできております。
現在、一緒にやっております宮里陽太くん。
これが実は土岐英史さんの教え子なんですけれども。
宮里くんも現場で吹いている人であります。
土岐さんのスタンダードの選曲は不思議な曲ばっかり
達郎氏:
てなわけで、土岐さんのソロアルバムもストレートなジャズのプレイに溢れております。
今日はスタンダード中心、オリジナルはあまりかけておりません。
スタンダード中心なんですけども。
土岐さんのスタンダードの選曲っていうのが、これがまた不思議でですね。
不思議な曲ばっかりなんですが。
これからお聴きを頂きますのは、1993年の『THE GOOD LIFE』というリーダー・アルバムの中に入ってる曲ですけど。
「IN THE WEE SMALL HOURS OF THE MORNING」という長ったらしいタイトルの曲であります。
「夜も深まって静まり返った頃」というようなタイトルの曲ですけれども。
1955年ごろに作られた曲で。
フランク・シナトラがレコーディングしたのが最初だと言われおります。
これをお聴きをいただきましょう。
土岐英史さんのアルト
大石学さんのピアノ
いつもやってる人たちですね。
坂井紅介さんのベース
そして日野元彦さんのドラムという・・
クァルテットによる演奏。
♪ In The Wee Small Hours Of The Morning/土岐英史
達郎氏:
1993年のアルバム『THE GOOD LIFE』から
「In The Wee Small Hours Of The Morning」
この『THE GOOD LIFE』のアルバム、クレジットを見ますと、なぜかSpecial Thanksに私の名前が入っておりまして(笑)
なんで入ってんのかなぁ、という感じですが(笑)
あの(笑)・・なんかでしょう(笑)
サックスは音色です!
達郎氏:
土岐さんのサックスとなんで長くやってきたかというと、何しろ私にとっては、サックスはですね、音色です。
フレーズとかいろいろありますけれど、やっぱり音色が・・プ〜と出たときの音色の美しさがないと、やっぱり管楽器は嫌だなという感じがしますが。
土岐さんは本当に音がきれいな人でありますので。
それでライブだけではなくて、レコーディングでもたくさんお世話になりました。
土岐さんのライブ昔よく観に行きましたアルフィーの空気が思い出されます
達郎氏:
もう一曲かかりますかね・・・
2008年のアルバムであります『THE ONE』というアルバムですけれども。
この中に入っております「MY IDEAL」という。
これは古い曲で1930年の作品で、ミュージカル映画の『The Playboy of Paris』という、モーリス・シェヴァリエ主演の、それの主題歌だそうであります。
どっから持ってきたのかというですね・・
土岐さんのいちばん上のお兄さんがピアニストで。
シャンソンのピアニストで有名な方でありますので。
そのお兄さんの影響がすごい大きいと。
小さい時に、そのお兄さんがレコードを、たくさんかけていて。
それでフランク・シナトラとか、そういうのを聴いたりとか、そういうような話をしておりましたが。
ですので、選曲もまたちょっと、いろいろなところから持ってきてるという・・
で、これは、すごく長い曲なので土岐さんのソロのところまで。
ピアノの椎名豊さん、すいません。
ベースは先ほどと同じ坂井紅介さんで、
ドラムは私の大好きな江藤良人さん。
このへんのセッション聴いておりますと、土岐さんのライブ昔よく観に行きましたアルフィーの空気が思い出されます。
♪ My Ideal/土岐英史
エンディング
達郎氏:
というわけで本日は、先日6月26日にお亡くなりになりましたサックスの土岐英史さんの追悼特集をお届けしました。
こういうジャズ・ミュージックは、本来はですね毎日演奏が繰り広げられておりますので、生で聴くともっと楽しいんですけれども。
そうした一瞬を切り取った、そうしたレコードというのは歴史に残っていきますので。
本人が亡くなった後もこうやって聴くことができるわけであります。
心よりご冥福をお祈りしつつですね、土岐英史さんの追悼特集でございました。
最後は、私、ほんとに長いこと土岐さんと一緒にライブをやっておりまして。
たくさんの作品がですねライブ・ソースとして残っております。
その中でも1989年に出しました私のライブ・アルバム『JOY』に収められております「THE WAR SONG」のコーダの三分数十秒のフレーズというのは白眉でありますので。
今日は、そこの部分を切り取ってお聴きいただきます。
「THE WAR SONG」のライブ・バージョンのコーダの部分で、土岐英史さん追悼特集
お開きにしたいと思います。
ご清聴ありがとうございました。
♪ War Song (Live)/山下達郎
今週のオンエア曲
14:05 Watching Over You/Peach & Apricot
14:12 サニーが憂鬱になった時/土岐英史カルテット
14:19 Toyland/Naoya Matsuoka & Hidefumi Toki
14:24 ミーニャ・サウダージ/土岐英史とサンバ・フレンズ
14:34 In The Wee Small Hours Of The Morning/土岐英史
14:42 My Ideal/土岐英史
14:46 War Song (Live)/山下達郎
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