細野晴臣さん(77歳)、山下達郎さん(71歳)が台本なしで進める会話が面白い。
貴重な音楽歴を知ることができました。
(いずれも年齢は放送当時)
※interFmで2024年10月20日に放送された内容の一部を文字お越ししたものです。
誤字脱字はご容赦ください。
<山下達郎>との音楽夜話~その①~ は こちら
ボーカリスト的なベースプレイ
細野晴臣: こんばんは。細野晴臣です。
さあ今週は久しぶりに会った山下達郎くんとのおしゃべりの後半です。
お楽しみください。
山下達郎: でも、細野さんのベースプレイって大体聴いてると、1A、2A、3A、みんな違うことやるじゃないですか。
細野晴臣: Aって何?
山下達郎: だから、Aメロ。
細野晴臣: あーあー、うん、Aメロ。こないだも誰かに言われたな、それ。
山下達郎: だから非常にボーカリスト的な、あれなんですよね。
細野晴臣: まあ、そう、あの、言われてみるとそうなのかなと思うだけで。
山下達郎: ずっと同じことするの好きな人もいるんですよね。
細野晴臣: まあ、それも好きなんだけど。
山下達郎: うん。
細野晴臣: あの、リズム&ブルースなんかそういうの、あれじゃない。あの、ジェームス・ブラウンなんかそうですね。
山下達郎: そうですよね。あれ変えると怒るっていう。
細野晴臣: そうそう。それはそれで好きなんだよね。
山下達郎: うん。
細野晴臣: でも、だいたいレコーディングってそんなことやんないじゃない、日本で。
山下達郎: どっからリズム&ブルースになったんですか?ってことは。
細野晴臣: いやあ、だからそのカバーでやるのは、バーンズ、エイプリルフール止まりかな。
山下達郎: ああ。
細野晴臣: そのあとカバーあんまりやらなくなっちゃったからね。
山下達郎: うんうん。
細野晴臣: で、あ、ハッピーエンドは最初モビー・グレイプのカバーやってたけどね。
山下達郎: うん。
細野晴臣: まあ、でも、インプレッションズとかそういうの聴いて、松本と「こういうのやろうよ」ってなったの。
山下達郎: なるほどね。
細野晴臣: バーンズの時。
山下達郎: ほうほう。
細野晴臣: で、それの延長線上でその、何、ヴァニラ・ファッジも聴くし、白人の音楽もみんな結構指で弾いてるじゃん。
スタジオミュージシャン時代
山下達郎: うん。スタジオを始めたのはどうしてたんですか?あの、向こうから?
細野晴臣: あのね、当時 なんとかっていう斡旋業者がいたじゃない。
山下達郎: はいはい。インペグ屋ですね。
細野晴臣: インペグ屋さん。今いないのかな?
山下達郎: いや、ありますよ。
細野晴臣: いるんだ。
山下達郎: ちゃんとありますよ、今でも。
細野晴臣: それから、週に1回ぐらい電話くんのよ。
だから、要するにその、とっぱらいでお金もらえる仕事だったわけよ。
山下達郎: うん。
細野晴臣: で、それが続いてったんで、ベースにずっと没頭して。
山下達郎: うん。
細野晴臣: あの、あ、何やるか全然知らないで行くと、野口五郎のオケ録りだったりね。
山下達郎: そう、そういうのやってらっしゃったんですか。
細野晴臣: やってたよ。
山下達郎: うんうん。クレジットないですよね?
細野晴臣: ないと思う。
山下達郎: うん。
細野晴臣: で、行ったら遅刻してて、ニュー・ハード・オーケストラがズラっと並んでて。
山下達郎: へえ。
細野晴臣: で、前の席に空いてるんだよ、1つ。そこに座んなきゃいけないから。
山下達郎: うん。
細野晴臣: もう腰低くして頭下げて、「すいません、すいません」つってそこに座って。で、「星さん?」
山下達郎: あ、星勝さん。モップス。
細野晴臣: モップス。
細野晴臣: 彼が指揮して。で、まあ彼だったから良かったんだけどね。いきなり譜面が置いてあって。五線紙。で、おたまじゃくしあるじゃない。うわあと思って、苦手なんでね。
山下達郎: うん、そうですよね。
細野晴臣: したらなんか、テイク1で、あ、なんだバカみたいなフレーズだったんで、すぐ覚えて。
山下達郎: ドラムの方覚えてないですよね、当然。
細野晴臣: 遠くにいたんだよな、なんで。すごいよ、だって何十人っていたからね。一発録り。
山下達郎: 70・・・
細野晴臣: 70、70年代だね。
山下達郎: 70年代。
細野晴臣: うん。70年代ってのはそういうもうスタジオミュージシャンで僕。
山下達郎: そんなにたくさんやられたんですか?
細野晴臣: やったね~。
山下達郎: へえ。意外だな、僕。ん?いや、それは意外だな。なんかこう、結構選んでやってらっしゃるというか、そんな感じが。
細野晴臣: 選んで、まあでもそんなやってねえかな。でも記憶にあるのはその野口五郎の。
山下達郎: うん。
細野晴臣: あとは全部割と今どきの、その頃のね、仲間うちでやってたのかもしれない、分かんないけど。
山下達郎: 演歌まではやらなかったでしょ、だって。
細野晴臣: 演歌。なんかやった。あ、えー、柏原よしえ。
曲を頼まれたんだな。「よしえ音頭」って。
うーん、まあ、そんなくらいかな。
キャラメル・ママの結成と「超絶うまい」世代
細野晴臣: そのあとはもうキャラメル・ママになって。
山下達郎: ほうほう。
細野晴臣: アグネス・チャンとかね。
山下達郎: ほうほう。
細野晴臣: あの、まあ、ユーミンとか。
山下達郎: なるほど。一人でそうやってスタジオミュージシャンで出かけてって。
細野晴臣: すげえ情けないよ。
山下達郎: ははははは。そういうことなのね。
細野晴臣: まあでもね、生活費だからね。
山下達郎: なるほど。
細野晴臣: それがあったから今頃、今でもできてんのかなと思うよ。
山下達郎: だからその、でもキャラメル・ティン・パンになるまでの要するにやっぱり、あのメンバー物色みたいなのあったわけでしょ、ハッピーエンドの後にもね。
細野晴臣: うん。
山下達郎: でも、でももうハッピーエンドの解散の時にもうキャラメル・ママあったじゃないですか。
細野晴臣: うんうんうん。
山下達郎: それはやっぱり細野さんちゃんと計画して。
細野晴臣: いや、どうなったんだっけな。
山下達郎: だ、だけど大体でも声かけるじゃないですか、いつもそういう形で。
細野晴臣: そうね。
山下達郎: うん、誰とやりたいとかそういうのがあって。
細野晴臣: だからさっき言ったその、大学の「PEEP」っていうフェスで知り合った鈴木茂、林立夫っていう人たちと、その、ドクターズも柳田っていうやつがすごくプロデューサー気質があって。
当時、スーパーセッションて流行ってたでしょ?
山下達郎: はい。
細野晴臣: あれで行こうと。
細野晴臣: だからピックアップメンバーで何かやったらと。
山下達郎: なんであの時代のその人たちってあんなにうまいんですか?
細野晴臣: 誰?鈴木茂?
山下達郎: 鈴木茂さんにしても・・・
細野晴臣: 最初からうまかったね。
山下達郎: 幸宏さんにしても、みんな・・だから、次利さんとかね。だから、みんな超絶うまいじゃないですか。
細野晴臣: うまかった。なんでだろう?
山下達郎: その粒の揃い方が尋常じゃないですよね。
細野晴臣: うん。なんかそういう世代だったのかな。
山下達郎: うん。
高橋幸宏とクリック
細野晴臣: 僕の世代はそうでもないんだよね。
山下達郎: そうですか?
細野晴臣: 大学、僕の世代で仲間は中田佳彦っていう中田喜直の甥っ子と、大瀧くんとか。
山下達郎: うん。
細野晴臣: そういうその、耳年増、耳年増っていうか。
山下達郎: うん。
細野晴臣: いっぱいレコード聴いて育ってきた人たち。
山下達郎: うん。なるほど。
細野晴臣: 僕もそうだよ。
山下達郎: うんうん。
細野晴臣: でも若い高校生たちはその頃の音楽しか聴いてないんだよね。
山下達郎: うん。幸宏さんとか僕と同じ歳ですからね。
細野晴臣: あ、そうか。
山下達郎: 坂本くんは僕より1個上。
細野晴臣: 上だね。
山下達郎: 学年がね。うん。
細野晴臣: うんうんうん。その、幸宏と話したことある?
山下達郎: あ、ありますよ。幸宏さんはすごく、あの、良くしてくれました。
細野晴臣: あ、そっか。
山下達郎: コーラスよく呼んでもらったし。
細野晴臣: あ、そうだったよね。なるほどね。
山下達郎: 信之さんの仕事とかね。
細野晴臣: うん、お兄さんのね。
山下達郎: ええ。あのバズとか。
細野晴臣: バズもそうか。へえ~
山下達郎: まあ、そういう、あの、人間関係っていう意味では幸宏さん本当に。
細野晴臣: うんうん。
山下達郎: 穏やかな人で。
細野晴臣: そうだよね。
だから幸宏は他の、バーンズの対バンで出てきたブッダズ・ナルシストっていう高校生バンドみたいなのがいて。すげえ生きのいいドラマーがいたから声かけて。
山下達郎: うんうん。あの人、あの体格でパワーありますよね。
細野晴臣: すごい。
山下達郎: ねえ。
細野晴臣: スライの『Dance to the Music』やってたのかな。
山下達郎: へえ。
細野晴臣: ダンツ、ダンツ、ダンツってやってたんです。
山下達郎: 顕子ちゃんのあの『明日こそあなた』ってのが、あれ僕コーラス頼まれて行ったんですけど、あれって打ち込みじゃないですか、打ち込みっていうか要するにクリックじゃないですか。
細野晴臣: うんうんうん。ああ、はいはいはい。
山下達郎: あれ細野さんだけど。
細野晴臣: そうだよ。
山下達郎: あれ、あのクリックのあれであのグルーヴ出すのって、あれ、半端じゃないですよね。
細野晴臣: 幸宏しかできない。
山下達郎: ねえ。あれ、ちょっとね、感動しましたよ。
細野晴臣: うんうん。そうそう。
♪ 明日こそあなた/矢野顕子
YMO黎明期とパーソナルスタジオ
細野晴臣: あの、YMOやる時も、最初ね、林立夫とやるつもりだったんだ。
山下達郎: へえ。
細野晴臣: でも彼がなんか違うプロジェクトが入って、できないっていうことになって。それで新たに幸宏、バンドやってたけどその頃まだ、声かけたら『やる』って言ってくれた。で、やり始めたら、クリックでやったらぴったりなんだよ。
山下達郎: うん。
細野晴臣: で、逆に言うとその他のドラマーはみんなそれ嫌がるんだよ。
山下達郎: うん、そうですよね。できないって言ってる。
細野晴臣: すごい敬遠されてて。幸宏じゃあもうぴったりだなと思って。
山下達郎: YMOはドラムマシンじゃなかったから。
細野晴臣: うん。最初はね。うん。
山下達郎: それがやっぱり、あの、勝因ですよ。最初のね。
細野晴臣: そうか。うん。
山下達郎: 下がものが生でしょ?で、上がものが、あの、シンセだから。
細野晴臣: そうそうそうそう。ハイブリッドだよね。
山下達郎: だから僕マシーンやる時、それやっぱ真似したんです。
細野晴臣: それで思い出した。あの、音羽っていう場所があったじゃない。
山下達郎: はいはいはい。
細野晴臣: 護国寺に近いとこね。
山下達郎: LDK。
細野晴臣: LDKスタジオ。
そこに来たんだよね。
山下達郎: そうですよ。
細野晴臣: 突然。
山下達郎: 細野さんがパーソナルスタジオ持ったってんで、あれ、あの村井さんの実家かな?
細野晴臣: そうそう、
山下達郎: 護国寺のね。うん。そこの地下に作られたってんで、それ見に。
細野晴臣: 一人で来たよね。僕も一人でやってたから。
山下達郎: ちょうどその時、細野さん誕生日だった。
細野晴臣: そう?!覚えてない。
。
山下達郎: うん。だから後からいろんな人来たじゃないですか。
細野晴臣: 来たねえ。いや、なんで来たの?あれ。
山下達郎: いやいや、見に、見学。
細野晴臣: スタジオ?
山下達郎: うん、見てみたくて。
細野晴臣: あの頃僕MC-5っていう、MC-4か。で、パソコンでやってた。
山下達郎: そうですよ。で、オタリのあの日本製のテレコで。
細野晴臣: そう。
山下達郎: 卓なんでしたっけ?あれ。
細野晴臣: あの、イギリスの。ど忘れ(笑)。
山下達郎: どこでしたっけね、あれ。
細野晴臣: 忘れちゃった。いい卓だったのよ。
山下達郎: でも、あれですよ。草分けですから、パーソナルスタジオの。で、ちゃんと、ちゃんとしたレコーディングができるっていう。
細野晴臣: そうそう。ブースがあって。
山下達郎: そうですよ。聞きまわしとかね。
細野晴臣: でも、その時僕一人でやってたでしょ?
山下達郎: うん。
細野晴臣: 何にも面白くないでしょ?。
山下達郎: いやいや、でも、あの、僕ほら坂本くんと長いんで。
細野晴臣: あ、そっか。
山下達郎: あの、あの人が『千のナイフ』やってた時、毎日通って。あの真鍋さんのあのタンス、あれ面白いから、シーケンスがどうなってんのかっていうそういうの面白いからずっと通ってたんだよ。
細野晴臣: なるほど、そうか。あ、じゃあ知ってたわけだ。
山下達郎: ええ。
細野晴臣: うーん。なるほど。
坂本龍一氏と山下達郎
山下達郎: あの、そのさっきの事務所のね、要するに、山下洋輔さんの、レコード作る時にクラウンからアドバンスふんだくって。
細野晴臣: うん。
山下達郎: それでアープ・オデッセイ(ARP Odyssey)を買ったんですよ。
細野晴臣: ほう。
山下達郎: で、69万もしたんですけどね、当時ね、74年か。で、みんなでわーっと遊んでんだけど、難しいから、ほったらかしちゃったんですよ。
細野晴臣: うん。
山下達郎: それを僕後から持ってきて、こんなペラいの何枚かのマニュアルしかないんだけど、それ家持って帰ってね。それでいじったんです。それのおかげでシンセできるようになった。
細野晴臣: なんか似たようなことやってる。
山下達郎: ああ、そうですか。
細野晴臣: やってる、やってる。
山下達郎: で、それ最終的に坂本くんに持ってかれちゃった、そのアープ。
細野晴臣: ほんとに?。あ、そうだったの。
それは知らないね。初めてだね、そんな話は。
山下達郎: そうですよ。坂本くんほんと2年半ぐらい本当に長いいい時期があって。毎日一緒にいた。
細野晴臣: あ、そうだったんだ。
すれ違うキャリアとコーラス仕事
細野晴臣: よく一緒にバンド組まなかったね。
山下達郎: いやあ。でもレコーディングは相当やりました。
細野晴臣: やってたね。アレンジャーだしね。
山下達郎: そうです。ええ。
細野晴臣: まあ僕もやってたけど、一緒にならなかったね。
山下達郎: そうですね。細野さんの方が忙しかったんです。
細野晴臣: ある時期からコーラスっていうと山下くんと美奈子とかね。
山下達郎: 最年少でしたからね、僕。
細野晴臣: やってもらってたよね、よく。
山下達郎: あのティン・パン・アレーの、キャラメル・ママのアルバム、『チューチュー・ガタゴト ’75』
細野晴臣: なんか自分の好きなことやってた(笑)。
♪チュー・チュー・ガタゴト ’75/ティン・パン・アレー
ビーチ・ボーイズとマイク・ラブの陽性
細野晴臣:すごい低い声出してくれてね。バーンってね。うん。
いや、いろいろやってくれたなと思って。
山下達郎: いやいや、お世話になりました。
細野晴臣: いやいや、もう今はそれを頼めなくなっちゃって、まあ、本当に。
山下達郎: いやいや、いつでも言ってください。
細野晴臣: 『いつでも』って言われたけど、なかなかできないよね。
山下達郎: ご遠慮なく。お出しでできることなら。
細野晴臣: まあ、なんか、あ、いいね。僕自分でできないビーチボーイズスタイルなのやってみようかな。ふふふふ。今そんなに出ませんけどね。
山下達郎: 出ないか。
細野晴臣: 低いじゃあビーチボーイズスタイルですね。
山下達郎: うん。
細野晴臣: ベース、ベースだったら大丈夫ですけど。うん、いいね。そうかそうか。
山下達郎: 細野さん、王様ってご存じですか?あの日本語で、向こうのヒット曲を日本語で、やる、するね。
細野晴臣: 知らない。
山下達郎: まあ、半分、あの、王様はね、いろいろディープ・パープルとかね、そういうのを要するに直訳、あの、日本語で歌う人なんです。
細野晴臣: ああ、そう。
山下達郎: 変なやつなんですけどね。で、その人が『グッド・ヴァイブレーション』やりたいと。
細野晴臣: うん。
山下達郎: それで、あの、『いい振動』ってやつね。
細野晴臣: 『いい振動』。
山下達郎: 『いい振動』ってやつ。それの、あの、ベースをやってくれと。
細野晴臣: おお、そう。ほんと?
山下達郎: それで、あの、ご丁寧に吉田保さん呼んできて、リバーブかけまくりの『グッド・ヴァイブレーション』やったんですよ。
で、僕もだからまあ、あの、面白いから行って見て。あの、『I’m picking up good vibrations』ってやったんですけど、これでね、すごい気が付いたのは、マイク・ラブの声ってめちゃくちゃ明るいんですよ。
細野晴臣: へえ。
山下達郎: だから普通にこうやって『I’m picking up good vibrations』、全然雰囲気出ないの。『I’m picking up good vibrations』こういう感じでね、やんないと。
細野晴臣: ああ、そう。
山下達郎: それはね、すごい勉強になった、その時。
細野晴臣: それも初めて聞く。
山下達郎: だから、あの、ビーチボーイズさんっていかにこう陽性かっていう。
細野晴臣: なるほどね。マイク・ラブのおかげなんだ。
山下達郎: そうです。だからマイク・ラブは非常にこう批判的にあれされますけど、マイク・ラブなしにあのビーチボーイズのね、明朗感は出ないんですよ。
細野晴臣: なるほどね。いや、よかった。で、それっていつの話?王様って。
山下達郎: もう20年?
細野晴臣: ええ。それ聴けるの?
山下達郎: ある、あると思いますよ。
♪ 「いい振動」 Good Vibrations/王様
リンダ・キャリエールと薄れゆく記憶
細野晴臣: いやあ、いっぱい話したね、なんか。
山下達郎: 大丈夫ですか?
細野晴臣: どうしようか。そろそろもう、リンダ・キャリエールの話、もう終わっちゃったよ。
山下達郎: はははは。
細野晴臣: じゃ、リンダ・キャリエールのお話戻るけど、お話したの?彼女と。
山下達郎: 何回か。
細野晴臣: 何回か。
山下達郎: 何回か。
細野晴臣: スタジオで?
山下達郎: スタジオです。
細野晴臣: あ、そっかそっか。
山下達郎: だって僕たちはただ要するに、あの、曲書いて、で、細野さんと一緒に歌入れ立ち会って。で、細野さんが『グッ』とやって。
細野晴臣: うんうん。
山下達郎: で、それで。
細野晴臣: あの、歌の、歌を指導したのは、どうやってやったの?
山下達郎: ぜん、全部細野さん任せですよ、それは。
細野晴臣: え?そうかい。僕何も言いませんよ。
山下達郎: ええ。
細野晴臣: デモなんかあったのかな?
山下達郎: デモありません。あ、デモは、あの、自分で歌いましたけど。
細野晴臣: じゃ、それを聴いてもらったんだろうね、きっとね。
山下達郎: そうですね。ええ。ええ。
細野晴臣: なるほどね。僕任せだったんだ。
山下達郎: そうです。
細野晴臣: 信じらんない、そんなの。よく任せたな、僕に。
山下達郎: 全部歌入れ立ち会ってましたよ。
細野晴臣: そう?
山下達郎: ええ。で、僕が行った時は誰かのやってて、他の人の曲。ご自分の曲じゃない、あっこちゃんの曲かなんかやってて。で、その後僕の2曲で。で、美奈子は美奈子で、あの、くっついてあれしたって言ってましたから。
細野晴臣: あ、そうか。ええ。そんな記憶ないんだよ。いつの間にか出来上がってたから、みんなが作ってくれたのかなと思って。
山下達郎: ふふふふ。ははははは。だって最初のそのプロデューサーの話から覚えてないって。
細野晴臣: 覚えてないんだよ。
山下達郎: いいな。だから、だから他の人のコメント見てもあっこちゃんも美奈子もあんまりよく覚えてない。
細野晴臣: 覚えてないでしょ?
山下達郎: いいな。あの、アレンジは、だから、あと全部細野さんでしたよね。あっこちゃんのやつは細野さんでしょ?
細野晴臣: そう?
山下達郎: 違いますか?ちょっと待ってください。覚えてないんですか。
ちょっと待ってください。えーと、あっこちゃんは細野さんですよ。
細野晴臣: あ、そうですか。
山下達郎: 佐藤くんのやつは?
細野晴臣: 佐藤くんは自分でやるよね。
山下達郎: そうですか。ちょっと待ってくださいよ。えーと、こちら裏。いや、佐藤くんのやつも細野さん。
細野晴臣: ええ?
山下達郎: だから僕以外は全部細野さんなんですよ。
細野晴臣: 僕と美奈子ね。
山下達郎: 僕4曲、だから美奈子の2曲で僕の。
細野晴臣: ああ、そう。
山下達郎: 他は全部細野さんですよ。そういうクレジットになってます。
細野晴臣: 初耳だよ。
山下達郎: いや、ひでえ。
細野晴臣: ひどいよな。ええ?なんで覚えてないんだろう。もう40、え、50、50年以上前?
山下達郎: いや、77年ですから、えーと、47年。
細野晴臣: 47年か、うん。
山下達郎: そうですね。まあ、しょうがないですね。
細野晴臣: しょうがないよね。うん、ほんと物覚えも悪くなったから。
っていうか最初から覚えてないんだけど。
山下達郎: 自分のは大体覚えてますよ、僕。
細野晴臣: だよね。
山下達郎: ええ。あの、1曲目のやつだけは、えーと、細野、あの、ミッチーと細野さんと、えーと、茂さんだ。
細野晴臣: あ、そうか。
山下達郎: 佐藤くんのやつ。ええ。
細野晴臣: じゃ、1曲、佐藤くんと、1曲かけて、今日はもうほんとに長い間ありがとうございました。本当に。また今度来てもらうかな。
山下達郎: 僕に、いつでもどうぞ。
細野晴臣: 山下達郎さんでした。どうも失礼します。
山下達郎: ありがとうございます。
細野晴臣: なんか笑ってるな。何かおかしかった?
山下達郎: 大丈夫。
細野晴臣: じゃあ、リンダ・キャリエールを聴きます。何?『Up On His Luck』。
じゃあ、これを聴いてお別れします。
山下達郎: これレコード会社どこなんですか?ソニー?
細野晴臣: ソニー。今アルファってソニーでしょ?
山下達郎: アルファは全部ソニー。
細野晴臣: ソニーらしい。
♪ Up On His Luck/リンダ・キャリエール
山下達郎: これは村岡さんなんでしょ、多分。
細野晴臣: そうだね。
山下達郎: うん。
細野晴臣: 村岡さんしかいなかったような気がする。
山下達郎: 岡崎さんかな。
細野晴臣: 岡崎さんね。
山下達郎: 岡崎さんは多分『ラブ・セレブレーション』で僕が頼んだ記憶があるんで。
細野さんのレコーディング分に関しては、えーと、あの、ミュージシャンは
細野晴臣:もういつもの・・・
山下達郎: キャラメルの面子ですか?
細野晴臣: そうそう。うんうんうん。・・・させてくれたのは誰だった?
よくわからない(笑)。
細野晴臣: 調べときましょうか(笑)
山下達郎: うん。
細野晴臣: 調べて、あれ、アレンジどうしたんだろう?
山下達郎: 美奈子と僕の分は全部ポンタ、大仏、松木さん、佐藤くんだったんですよ。
細野晴臣: うんうんうんうん。
山下達郎: で、ブラスはあの、多分77年だからまだハトリさんで。ハトリさんでミンミンで。で、僕のところはむかいさんと、あの、粉川さんっていうトランペットと、それと砂原さんで。
細野晴臣: うんうんうん。よく覚えてる。
山下達郎: 6管ですよ。
細野晴臣: 6管です。
山下達郎: で、ソロはちょっとわかんないけど、多分村川さん。
細野晴臣: うん。
山下達郎: そういうあのあれで、だから細野さんのところはあのキャラメルで決まってるから、あとは上物見ればすぐわかるでしょ。
細野晴臣: そうか。
山下達郎: ちょっと、あの、聞いて調べてきます。
細野晴臣: すいませんね、ちゃんと覚えとかないと。
山下達郎: しかしまあ覚えてないでいいな。細野さんらしい。
細野晴臣: すぐその後ね、YMOが始まった。
山下達郎: ああ、始まっちゃった。
細野晴臣: すうだね。うん。そっちは覚えてんだ。
山下達郎: わかります。
エンディング
細野晴臣: いや、いろいろな話が聞けて良かった。
山下達郎: いやいや。
細野晴臣: お元気そうで何より。
山下達郎: うん。
細野晴臣: 元気なうちにまた。
山下達郎: はい。そうですね。だから、コーラスだったら、いつでも呼んでください。昔ほどの、あの、ポテンシャルないですけど。
細野晴臣: ちょっと考えてみる。嬉しいねえ。
山下達郎:メールしたじゃないですか(笑)。
細野晴臣: そうだったね(笑)。なんでも言ってくれたって言いにくいもんです。
山下達郎: ご遠慮なく。大丈夫です。細野さん別格です。
細野晴臣: 何でもやるから。ベース以外弾けないけど。
山下達郎: そうか、細野さんのベースか。
細野晴臣: 全然今、5,6年弾いてない(笑)。
山下達郎: はははは(笑)
コメント