山下達郎さん サンデーソングブック 2018年5月27日『フェンダーギターで棚からひとつかみ Part.1』
横浜市内は、爽やかでみずみずしい青空が広がりました。
土曜日(5/26)は近くの小学校で運動会。子どもたちの声援や音楽が聞こえてきて、ほのぼのとした気分になりました。
今日のサンソン、達郎さんがテレキャスターを選んだ理由がわかりました。なるほどです。
ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックのほんの一部をテキスト化しています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。
◎ 冒頭
達郎氏:
5月も早いもので、最後の日曜日でございます。
今週・・もう6月になります。
えぇ、なんか不安定な陽気で、暑かったり雨が降ったり、忙しい日々でございます。
もう気分はほんとに夏に近いという感じでございますが。
体調崩しやすい季節でございます。
週間予報見ると、また雨になるのかな・・
このまま梅雨に入りそうな感じがするでんすが、わかりませんけれども。
私、いよいよ今週からツアーのリハーサルが始まります。
ツアーのリハーサルの準備で追われております。
そんな時にですね、Windowsを新しくインストールしようと思いましたら、ぐちゃぐちゃになってしまいまして。
帰って、また朝までやんなきゃなんない。
書類とか、そういうのが出なくなっちゃうので。
こんな時に!
再インストールしなきゃよかった・・
後悔しておりますが。
後悔先に立たず!
がんばります笑い
でも、番組の方は負けずにやっております。
2週間、ギブソン・ギターで棚からひとつかみ
ご好評いただきまして。
調子に乗って、じゃフェンダーもやってみようと。
ギブソン、フェンダー、2代メーカーでございますけれども。
ですが、『フェンダー・ギターで棚からひとつかみ』始めましてですね、これは相手がちょっとデカすぎるかな、と。
ギタリストの特集とは違いましてですね、ギターのブランドに焦点当てますとですね、幅が広がりすぎ(笑)
相手がデカすぎ(笑)
やんなきゃ、よかったかなと(笑)
これも、後悔先に立たずでございます。
でも、調子に乗ってですね、2週間やっちゃおうかなと。
今週、来週、『フェンダー・ギターで棚からひとつかみ』
ギブソン以上の特集ができますかどうか・・
ま、わかりませんが(笑)
えぇ、そんなわけえで(笑)
私は、ひたすらフェンダー派でございます。
フェンダーのテレキャスターというのが、私のずっと愛用のギターであります。
1970年代からずっとテレキャスター一筋でやってきております。
あとはストラトキャスターも使いますが、いすれにせよフェンダー一族でございます。
私のライブでは、みんなフェンダーを使っております。
エレキですけどもですね。
アコースティックはちょっと違いますけれども。
ですので『フェンダー・ギターで棚からひとつかみ』でしたら、まずは山下達郎の曲から、お聴きをいただきます。
かなり、狙ってお便りを頂いておりますが。
おなじみ1982年の私のアルバム、真ん中のオブリも、この曲は全てフェンダーのテレキャスターで演奏しております。
♪ SPARKLE/山下達郎
~ CM ~
♪ Rave On/Buddy Holly
◎Rave On/Buddy Holly
達郎氏:
あくまで、ギブソンの時と同じで私のリスニング・ライフの中での記憶に基づいたもので、展開しております。
50年以上、60年以上の歴史が、エレキギターにもありますのでですね。
もっとあるか!
その中で(笑)
フェンダー使いとかやっても、もう枚挙にいとまがありません(笑)
ので、ほんの舐める程度でございます。
まずはロックンロールの黎明期に活躍いたしました、バディー・ホリー。
1958年のヒット・ソング
アメリカでは全倍37位ですが、イギリスでは全英5位に入りました大ヒット・ナンバーで、イギリスでは大変人気の高いシンガーでありますが。
59年、飛行機事故で亡くなりました。
享年22歳の若さで亡くなってしまいました。
その前年の作品「Rave On」。
たくさんカバーがありますが、やはりバディー・ホリーのオリジナルが、乾いた感じ!
◎Misirlou/Dick Dale&His Del-Tones
達郎氏:
フェンダー・ギターというのはですね、レオ・フェンダーというい人が作って、カリフォルニアに工場がありまして、カリフォルニアで生まれたギターですので、音が乾いているといいましょうか(笑)・・・こじつけですね(笑)
で、ロックンロールの黎明期は特に、いわゆるソリッド・ボディーといいましょうかね。
木無垢のギター・・のエレキギターでしたので、カリフォルニアのサーフィン・ホットロッド・シーンでは、とにかく使われました。
たくさんフェンダーの音が聞こえますけども。
サーフィン・ホットロッドのくさ分けの人物といえば、ディック・デール
Dick Dale&His Del-Tones、1962年、これヒット曲じゃないんですよ、実はね(笑)
でも、日本でもですね、エレキ弾く人なら知らない人はいないというですね、有名な。
ディック・デールはもともとサーファーだったんですけども、ギターを持ちまして人気が出ました。
ディック・デールの今では代表作でございます。
♪ Misirlou/Dick Dale&His Del-Tones
フェンダーのストラトキャスターで弾かれた曲でございますが。
ディック・デールは左利きでありまして、左利きでギターを弾くんですけども。
でも、右利き用の普通のですねストラトキャスターを左に持ち替えて弾くという。
えぇ、誰かと同じ・・
ジミ・ヘンドリックスと同じでございますが。
ジミヘンは、明らかに、ここのスタイルはですね、ディック・デールから影響を受けたんだという説が有力です。
シアトルでディック・デールのライブをみてですね、それでインスパイアされたんじゃないかという説です。
◎Burn/Deep Purple
達郎氏:
今の世界の趨勢ですと、フェンダーですと、フェンダーのストラトキャスターかテレキャスター、この2大勢力に分かれます。
やっぱり、弾きやすや、形、音・・・いろいろな意味でですね、この2つがですね使いやすいギター・・耐久性もありますし。
なんせ木無垢というのもありますが。
私、パッと思って、自分がテレキャスター使ってるんで、テレキャスター弾きもいますけれども、ストラトキャスター弾きで、パッと一番最初に思い浮かぶのがリッチー・ブラックモアです(笑)
やっぱり若い頃、みてますと、リッチー・ブラックモアはひたすらなんか、ストラトキャスター!という印象があります。
ディープ・パープル、1974年のアルバム「Burn」
これのタイトルソングでございます。
アルバムは全米トップ・テンに入りましたヒットアルバムであります。
リッチー・ブラックモアのリフが冴えます。
ディープ・パープル・・
邦題「紫の炎」
よく付けるよな、こういうの(笑)
♪ Burn/Deep Purple
これでもか!ってやつですね。
ディープ・パープル1974年のアルバム「Burn」から、タイトルソング「Burn」
なんだ、短いじゃないか!って・・
・・・これシングル・バージョンなんです(笑)
エディットかと思いきや、普通にフェートアウトして・・
かわいい!(笑)
デイヴィッド・カヴァデールですね、イアン・ギランから変わった時ですね。
ドラムのイアン・ペイス、走る!走る!
いいですね、こういうの。
ドンカマがない音楽(笑)
リッチー・ブラックモアはディープ・パープル以前にもですね、インストのレコードをたくさん出しております。
ギター・インストゥルメンタルとしてもですね、たくさん作品を残しておりますが。
私が申し上げなくても、その後のパープル以後のですね、レインボウとか、そういう活躍は、ファンの方ならよくご存知という。
なんか、あんまり・・・空疎な感じですね(笑)
◎Avalanche/Albert Collins
達郎氏:
で、ディープ・パープルのあとに何をかけるか・・・
これも切れ味鋭いミスター・テレキャスター、アルバート・コリンズ。
テキサスブルースの重鎮でございますが。
たくさん作品ございますが。
なんでもいいんですがですね・・
今日は78年のアルバム「アイスピッキング」の一番最後に入っております「Avalanche」
♪ Avalanche/Albert Collins
◎フェンダー・ギター
達郎氏:
さきほど申し上げましたみたいに、今フェンダーのギターといいますと、だいたいテレキャスターとストラトキャスターの、この2大勢力になってしまいましたが。
いろいろあります、他にも。
ジャズマスターとかですね。
ジャガーとか。
1960年台の頭くらいに、そうしたものが作られまして。
今日いろいろお聴きを頂いております、来週もお聴きをいただきますけども。
ストラトキャスターにしろ、テレキャスターにしろ、こういうギタリストの人たちは、みんな改造しております。
ピックアップ付けたりですね、いろいろ位置を変えたり。
そういうような工夫があったりしております。
そういうのも、ありますけど・・
そういうことには触れません。
棚からひとつかみですからね(笑)
◎Carl’s Big Chance/The Beach Boys
達郎氏:
お知らせの前にもう1曲。
そんな中でテレキャスターでも、ストラトキャスターでもないジャガー。
ジャガーが一番最高級機種として発売されたという記憶がありますが。
そんな時代のビーチボーイズのレコーディング。
アルバム「オール・サマー・ロング」1964年のアルバムですが。
この中に入っております。
カール・ウィルソンがギターソロを弾くというですね。
「Carl’s Big Chance」
あの当時のウェストコーストのサーフィン・ホットロッドのギターならでわの、ちょっと弦の太いですね、いい音がしております。
♪ Carl’s Big Chance/The Beach Boys
カール・ウィルソンは、このあと、エピフォンとかそういう方にですね流れますけども。
この頃は、もろフェンダーでございます。
ビーチボーイズ全員、ライブはフェンダー!
ストラト、ジャズベース、そしてジャガーというですね。
カールも98年に亡くなってしまいました。
その頃に追悼特集をやった思い出があります。
あれからもう20年かぁ・・・
早いなぁ・・
~ CM ~
◎リスナーからのお便り(富山市のY.Yさん)
『5月20日の放送で、ギブソンか、フェンダーか、どのようにして決めるのかという質問に「あのギター格好いいな、という感じで決めてる」とおっしゃっていましたが、達郎さんがフェンダー派になった理由は何でしょうか。
ギブソンは高価だと言われているので、ほんとはギブソンが欲しいけど、ちょっと手が届かいないなというようなことはあったのでしょうか。
あと、ギターは弾けるようになるまで、どのくらいかかりましたか。』
達郎氏:
えぇ・・・
単純にテレキャスターが一番安かったんですよね。
それですけども・・
あのぉ・・フェンダー・ギターはですね、特にテレキャスターなんかは、ボリウムとトーンはもうフルテンといいましょうかですね、フルで使うしかないんです。
ボリウム絞ってきますとですね、コンデンサーが効いて音が固くなりましてですね。
ダメになっていくんです。
ですので、マイクの位置だけで出来るので。
初心者にも非常に使いやすい。
ギブソンは特に、レスポールとかですね、ああいうギターは、ボリウム2つ、トーン2つを組み合わせることによって無限のバリエーションができます。
そういうところのバリエーションはもうギブソンが圧倒的に優れています。
そういう意味では私は、リードのギタリストではなかったのでカッティングでいくにはテレキャスターが一番いいなと、そういうような感じでございますね。
『現在のロックやポップスなどではギターは欠かせない存在ですが、現在のようにメジャーな楽器となったのは、いつ頃からでしょうか。
ベートーベン、ショパンなどクラシックの作曲家はギターの曲は書いていませんし、ギターをクラシック音楽を構成する楽器ではありません。
しかし、彼らはギターという楽器にたいへん賛辞を送っています。
革命的な楽器とまで言われたギターは、どのように現在の位置を占めるまでに至ったのか、達郎さんの見解を是非聞かせてください。』
達郎氏:
えぇ・・・こういうの5分や10分で言われる、あれじゃないですけど(笑)
私が教わったあれではですね・・
ギターの発祥に関しては諸説ありまして、決定的な説はいまでもないです。
ま、ギターの前身としてリュートとか、そういうのはもう中世からずっとありますけれども。
19世紀後半にいわゆるクラッシクギターと呼ばれる、あのギターの形が完成したと言われております。
その、ほぼ完成形のギターで名人がたくさん出てきまして、ギターがですね爆発的に普及しましたけども。
なんといっても、その電気化ですね。
エレキギターが生まれてから、ギターの音が大きくなりましたので。
それで、例えばオーケストラとかですね、そういうものにも負けない音量が獲得できましたので、そっからギターがですね爆発的に、特にポピュラーミュージックの中で地位を占めるという。
それの主導をしたのがフェンダーであり、ギブソンである、というですね。
なんつってもエレキギターです。
エレキギターが出てきて、ロックンロールというですね。
ギターは、もうC,F,G
♫ Guitar~
これを覚えれば、曲が作れます。
これだけで歌が歌えるという。
ま、非常に軽便な楽器ですので。
そういう意味で若者にうけた。
でも、それが今やもう・・マックのガレージバンドで手軽に曲が作れるようになってしまったという・・
いろいろな歴史の波風は、あるわけでございます。
◎愛しすぎて/オーティス・レディング
達郎氏:
私がテレキャスターを使いたいと思った一番の原因はですね、スティーブ・クロッパー。
メンフィスサウンドの雄でありますが、ブッカーTとMG’sのスティーブ・クロッパーというい人がテレキャス使いでありまして。
この人の音にすごく影響されて、私はテレキャスターが好きになりました。
スティーブ・クロッパーは、ほんとに、あの・・歌バックで演奏する時の存在感っていうのは半端ない人なので。
歌のバックで演奏してる曲を、今日持ってきました。
おなじみ、オーティス・レディング。
オーティス・レディングのバックがブッカーTとMG’sで、ずーっとレコーディングをしてました。
1965年、オーティス・レディングの最初の大ヒットでございます。
R&Bチャート2位。
全米21位
素晴らしい表現力の歌の後ろでですね、淡々とアルペジオを弾く、このスティーブ・クロッパーのこの人がなければサザン・ソウルは語れない(笑)
♪ 愛しすぎて/オーティス・レディング
心に響く歌でございますが。
◎Cannonball Rag/James Burton
達郎氏:
フェンダー使い、特にテレキャスター使いといいましたら、この人外すわけにはいきません。
ジェームス・バートン。
チェット・アトキンスにも匹敵するギターのテクニシャンでございます。
いろんなところで活躍してますけども。
エルビス・プレスリーのバック、リック・ネルソンのバック。
有名なところではスージーQという、デイル・ホーキンスの・・
ジェームス・バートンが10代の時の演奏で。
ギターリフも彼が考えたという。
今日は何をかけようかと思ったんですが。
2011年にイギリスのエースからジェームス・バートンの初期の作品、50年代から60年代のですね初期の作品を集めたコンピが出ました。
これは非常に優れたものなんですけども。
この中に入ってる1961年のTVショーにですね、臨時で出てきた時のレコーディングだそうでございます。
音が悪いんですけども、それを補って余りある、すごいギターテクニック!(笑)
1961年のTVショーの録音でございます。
♪ Cannonball Rag/James Burton
1950年代にカリフォルニアでオンエアーされておりましたカントリー・ミュージックのTV番組であります「Town Hall Party」
ここでジェームス・バートンが出演しておりまして、マール・トラヴィスの代役で出たそうですが。
そのときに演奏した「Cannonball Rag」
ジェームス・バートン、この時代はですね、果たしてテレキャスを弾いているかという、そういう説もあるので。
もったいないのでもう1曲(笑)
♪ Moonshine/James Burton&Ralph Mooney
この人もギター改造してる人で、3ピックアップのテレキャスターを使ってる人でありますが。
◎エンディング
達郎氏:
今日はこのへんで。
この続きはまた来週。
『フェンダーギターで棚からひとつかみ』
来週は、またもうちょっと幅を広げて。
日本の人も。
このあいだもギブソンで2週間と同じパターンでございます。
来週もお楽しみに。
今日の最後なんですが。
私、1980年代、人に曲を書いて提供したものが、結構あるんですけども。
その中でもですね、とりわけ自分で気に入った演奏というのがありまして。
歌っているのが円道一成さんという。
神戸生まれのですね、リズム&ブルースが好きなシンガーであります。
ウィルソン・ピケットをこよなく愛するというですね、方でありますが。
この人の84年のアルバム 「RUN TO LIVE, LIVE TO RUN」というアルバムがありますが。
それに、私、2曲提供しておりまして。
この2曲、非常に自分で、あの・・
ものすごく気に入ってる曲で(笑)
アルバムが長い間廃盤だったので、自分のファンクラブで販売しているですね、こうした人に提供した作品を集めたコンピ「The Works Of Tatsuro Yamashita」というのがあります。
2004年に出したやつですけれども。
これの中に収録してございますので、もしご興味がある方は是非私のホームページにアクセスしていただきまして、お求めください。
今日の最後は1984年、円道一成アルバム「RUN TO LIVE, LIVE TO RUN」から、これは青山純ドラム、伊藤広規ベース、佐藤博キーボード、そして私のギターに、EVEのコーラスという。
ちなみにこれは、左側のギターがテレキャスターで、右側のオブリを弾いてるのがフェンダーのストラトキャスター。
♪ L.A.Babe/円道一成
今週のオンエア曲
14:03 SPARKLE/山下達郎
14:08 Rave On/Buddy Holly
14:12 Misirlou/Dick Dale&His Del-Tones
14:16 Burn/Deep Purple
14:22 Avalanche/Albert Collins
14:26 Carl’s Big Chance/The Beach Boys
14:34 愛しすぎて/オーティス・レディング
14:39 Cannonball Rag/James Burton
14:42 Moonshine/James Burton&Ralph Mooney
14:46 L.A.Babe/円道一成
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