山下達郎さん サンデーソングブック 2016年6月19日『父の日で棚からひとつかみ』

山下達郎さん サンデーソングブック 2016年6月19日『父の日で棚からひとつかみ』

長崎市内、日曜日は早朝・・といってもまだ深夜でしたが、大雨と雷で目が覚めました。
そして一日中、どんよりとした梅雨らいしい天気。

今日のサンソン、選曲は切ない曲がほとんどでしたが、いい曲ばかりでした。
ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックのほんの一部をテキスト化しています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。

◎ 冒頭

達郎氏:

6月も下旬に入って参りました。

梅雨だとは言うもののですね、関東地方は利根川が渇水しておりまして、取水制限などが始まりまして。

このままいくと、給水制限が・・
なんか観測史上最低の貯水率とか言ってますが。

最近だけどメディが言ってる「観測史上」ってのはですね、90年代くらいからのカウントでありまして。
40年、50年のあれじゃないんですよね。
でも70年住んで最低とかっていうのはビビりますけどですね。

どうもそういうのが、気になって仕方ありません。

3日ぶりに株価が下がった、とかですね。
ひと月ぶりの円高、だとかですね。
もっと何かロングスパンで話を・・
どうでもいいんですけど(笑)

レコーディング始まりまして。
毎日、夜中過ぎまで、ウンウンやっております。

いろいろ、あっち行ったり、こっち行ったりしておりまして、曲が変わったり、そんなこともありますので、バタバタしております。
一所懸命、作っております。
具体的なことがお話できるようになりましたら、お知らせしたいと思います。

今日は、ふた月にいっぺん、あります。
また恐怖の「聴取率週間」っていうやつでございます。

もうレコーディングでテンパってますから、あんまり関係ない(笑)
さぁ、どうしようかな!と。
しょっちゅうライブ音源かけてるわけにもいきませんし。
それもまた、結構作業が必要なのでですね。

で、プロデューサーの人から助け舟が出まして。
今日は「父の日」です。
6月、第3日曜日。

5月第3日曜日は「母の日」
「母の日」は何もやりませんでしたが(笑)
今日は、「父の日」でありまして・・・
「父の日」でなんかやったらどうだと助け舟が出まして。

「父の日」でなんかやったからって、聴取率週間が、なんかねぇ・・
上手くいくかどうか、判りませんが。
ま、でも助け舟ですので。

2000年前後に一度「父の日で棚からひとつかみ」やったこと、あるんですけど。
15,6年ぶりであります。

「父の日」
お父さんの歌で、今日は集めまして『父の日で棚からひとつかみ』でございます。
何が飛び出しますか(笑)

日曜日の午後のひととき、今日も素敵なオールディーズソングでお楽しみを頂きます。
本日、最高の選曲と最高の音質でお届けを致します山下達郎サンデーソングブック。

久し振りに業務連絡が入りまして。

女優の黒木瞳さんが、このほど映画の監督をなさいました。
初監督の作品であります『嫌な女』。
桂望実さん原作の作品の映画化でございますが。

主演が吉田羊さんと木村佳乃さん。
吉田羊さんは映画初主演だそうでございます。

それが今週の土曜日6月25日から全国ロードショーになりますが。
これの主題歌としてですね、竹内まりやの「いのちの歌」が起用されます。

「いのちの歌」、元々はNHKの朝ドラの「だんだん」の劇中歌でありましてですね。
詩が竹内まりやさんがMiyabiのペンネームで書きまして、村松崇継さんの作編曲で、シングルにもなりました。

これを黒木瞳さんが、是非とも主題歌に使いたいというご要望でですね、このほど映画の主題歌として使われることになりました。

映画の内容、その他は、映画「嫌な女」オフィシャルサイトを御覧ください。

6月25日封切りの映画「嫌な女」の主題歌として再び・・
「いのちの歌」

♪ いのちの歌/竹内まりや

~ CM ~

♪ ロッキン・ダディ/ハウリン・ウルフ

◎父の日 

達郎氏:

さっき私、「母の日」は5月第3って言いましたが、第2日曜日ですね。
第2の母の日、第3の父の日だそうでございます。
ふへへ(笑)

でも、ものの本で調べますと、全世界的に「母の日」も「父の日」もですね宗教的な背景もありますし。
アメリカなんて、ちゃんとした「父の日」は行事として制定されてる日だそうでございまして。

なので、今日は「父の日」
さきほど申し上げましたが、2000年前後に一度やったことがありますが。
久し振りでありますが。

再三再四こういう時には申し上げておりますが、テーマを決めて「棚からひとつかみ」やりますとですね、曲の質がですね、ちょっとこう・・落ちるとか、そういうようなきらいがありますので。
なるべく曲優先にして行きたいと思いますが。

そうしますとですね、父の日・・お父さんのテーマの曲でありますがですね。
あんまり「父の日」にそぐわない(笑)、ちょっと暗くなるという(笑)
辛気臭くなるというか(笑)
そういう、きらいもあるので、そのへんはご容赦頂きたいんですが。

あくまでも洒落でございますからね。
『父の日で棚からひとつかみ』

頭はもう、景気よく行けば何でもいいっていうアレでございますので。
ハウリン・ウルフ、シカゴブルースの代表者でございますが。
ハウリン・ウルフが1971年に発売しましたロンドンレコーディング。
エリック・クラプトン、スティーヴ・ウィンウッド、ビル・ワイマン、チャーリー・ワッツというですね、粋なメンバーで出しました1971年の「London Howlin’ Wolf Sessions」

これの1曲目に入っております。
ハウリン・ウルフのレパートリーでございますが。
ロッキン・ダディ、これから初めてみました。

♪ パパの歌/忌野清志郎

◎アイム・ハー・ダディ/ビル・ウィザース

達郎氏:

今日、いろいろ選曲しましたけれどもですね。
いい曲だなと思う歌はですね、どれも、なかなか悲しい歌なんですね。
でも曲が説得力があるので。

ま、父の日ですが、しみじした気分になって頂こうという。

まずはビル・ウィザース。
デビュー・アルバム、1971年の「Just As I Am」、名盤でございますが。

ビル・ウィザース大好きなんですが。
久し振りに聴きましたら、ほんとにいいです(笑)
これ一枚聴いてしまいました。

この中に入っております「アイム・ハー・ダディ」という曲があります。
別れた女の人がですね、実は子供を産んでたという。

6年経って、その女の人に会って、6つになる女の子がいたということを何故僕に話をしてくんないんだと、そういうような悲しい歌なんですけども、このビル・ウィザースの歌がもう、何とも言えず素晴らしい!

1971年のアルバム「Just As I Am」から「アイム・ハー・ダディ」

♪ アイム・ハー・ダディ/ビル・ウィザース

ビル・ウィザース1971年のアルバム「Just As I Am」から「アイム・ハー・ダディ」

その子は可愛い子かい?
もう大きくなったろうね。

自分の部屋でちゃんと一人で寝る子かい?
会ってもいいかい?

でも あの子は知ってるのか
僕が彼女のお父さんだということを

切ない歌ですね、ほんとに。

プロデュース By ブッカー・T・ジョーンズ
ギターが珍しくスティーブン・スティルス
きれいな音でございます。

◎Sunday Father/Barry Manilow

達郎氏:

これも切ない歌なんですが、バリー・マニロウ。
1979年のアルバム「One Voice」という、これに収められております「サンデーファーザー」
「日曜日の父親」という曲ですが。

離婚した父親が日曜日だけ子供会わせてもらえる、息子と会わせてもらえるというですね。
日曜日の父と息子のですね、交流を描いた歌でございます。

詩を書いておりますのが、バリー・マニロウとたくさん共作しておりますEnoch Andersonという作詞家のあれでございますが。

バリー・マニロウのこれも切々としたナンバーでございます。

♪ Sunday Father/Barry Manilow

子供と公演で遊んでですね、日曜日に・・・
それで子供をまた、元の奥さんのとこに返す・・
家の前に息子を残してですね、彼女は元の旦那さんがいなくなるまで家側で待ってるという・・

そういう切ない歌ですね(笑)
日本語で、このサウンドで同じ内容の歌を歌っても、すごく違和感がありますが、英語が、これがちょっと便利な言語なんですけど。

それでも僕らが英語がそんなに堪能じゃやないから、それが自然に入ってくるのか判りませんがですね。
なかなか、こういう歌は、日本のシンガー・ソングライターは作りませんね。

アメリカの離婚文化というか、そういうものも反映されてますが。
なかなか考えさえられるものでありますが。
これが70年代にもう作られてるという・・
アメリカの文化でございますが。

~ CM ~

◎お父さんの歌で棚つか 

達郎氏:

父の日で棚からひとつかみ・・あんまりでも、趣旨に合わない曲の方が多かったりしますが(笑)

だからま、「お父さんの歌で棚つか」といったほうがいいかもしれません。

なんか、一所懸命、選曲をやってたら(笑)
お便りとか、たくさん目の前にあるんですけど、読むのも忘れてしまって(笑)
曲、ご紹介してます。

◎リスナーからのお便り(仙台市のK.Nさん) 

『我が家の斜め向かいの家の玄関先に、小さな赤い実をつけた1mほどの木に、鳩が現れ、その見をついばんでいました。
夜にホトトギスの鳴き声がしたりと、自然豊かな場所で暮らしております。
達郎さんは、もし今と違う場所で暮らすとしたら、どこに住みたいと思われますか。』

達郎氏:

えぇ・・私、東北がいいですね、仙台あたり、いいなって思いますが。
母の実家が仙台なものでございましたからですね。
年取ってきますと寒いのが苦手になってきますので(笑)

でも、青森、岩手、宮城、山形、秋田・・ああいう所は、すごく人情が好きでございます。
別に南がだめってわけじゃないですよ(笑)

♪ My Heart Belongs To Daddy/Marilyn Monroe

♪ Let Me Be The Man My Daddy Was/The Chi-Lites

◎父親の悲哀/矢野顕子 

達郎氏:

で、邦楽を何曲かかけようと思って、いろいろ見たんですがですね。
なかなか私好みの曲が、あんまり無いんですよね(笑)
2000年前後にかけた時も忌野清志郎さんの「パパの歌」と、あと桑田佳祐さんのですね『僕のお父さん」と、この2曲くらいしか好みが無かったんで、すいませんが、今日は洋楽ほとんどで行きますが。

そんな中でですね、1999年の映画「ホーホケキョ となりの山田くん」という、、いしいひさいちさんのですね原作のアニメ、高畑勲さん監督の。

これのサントラにですね矢野顕子さんのインストが入ってます。
「父親の悲哀」というですね・・
インストでございますけども。
アッコちゃん自分でピアノ弾いてらっしゃると思いますが。

見事な演奏でございます。

♪ 父親の悲哀/矢野顕子

◎エンディング 

達郎氏:

今日はこのへんで(笑)。
だいじょうぶかな、ほんとに(笑)

何がレーティングだ、ほんとにもう(笑)

来週はですね、久し振りにワーナーのまわし者と化します。
6月22日、毎度ご好評頂いておりますワーナーのコンピ。
ガールグループ・ナゲッツがVol.6,7と2枚でます。

それからワーナー・ポップ・ロック・ナゲッツという、これが1から4まで4枚。
計6枚ですね、発売になります。

だんだんカルトになってきましてですね。
ものすごい内容でございます。
コレクターの人にはもう、たまらない内容でございます。

世界、どこへ出しても恥ずかしくない。
エースに勝るとも劣らないコンピでございます。
来週はそれを、行けるとこまでいってみたいと、いう具合に考えております。

その間にレコーディングをシコシコやりますのでですね(笑)

山形市のT.Kさん

『自宅から5分ほどの河川敷に熊が出没しました。
60年間生きてきて初めての出来事です。
自分は直接見たわけではありませんが、立ち入り禁止のロープが張られ、お巡りさんや猟友会のメンバーがたいへんな騒ぎです。

また近くに小学校もあり、学校行事に子どもたちの通学と、深刻な状況です。
なんでも昨年秋のどんぐりの豊作で、その結果今年の熊の生体数が異常に多いことになっていて、地元の新聞に熊の記事が出ない日はありません。

この河川敷は小生のランニングコースでもあり落ち着きません。 』

すごいですね・・
なんか今年は台風が少ないとか、なんか妙に豊漁なものが多い、何が豊漁だとかですね、スッポンが豊漁だとかですね、そういう情報がありますね。

養殖よりも天然が値崩れしてて安いとか、そういうアレですけども。
そろそろスッポンの季節でありますね。

がんばってスッポンでも食いながら(笑)
スタジオ仕事に励みたいと(笑)思っております。

というわけで今日は『父の日で棚からひとつかみ』でしたが、趣旨とちょっと合わないかもしれませんが、ま、あの・・・

いいんです。

で、今日の最後は、こうした父の歌、たくさんありますが。
一番好きな曲の一曲でございますが。
2000年あありにやった時には、まだこの曲出ておりませんでした。

2003年の作品でございます。
ルーサー・ヴァンドロス、2003年のアルバム「Dance With My Father」
アルバムのタイトル曲でありますが。

シングルカットもされまして、全米38位とスマッシュ・ヒットなんですけれども、その後2004年のグラミーのソングオブイヤーを獲得しました。

その後、セリーヌ・ディオンのカバーとかですね、今、スタンダードでたいへん有名な曲になっております。名作でございます。

”まだ無邪気だった子供の頃を思い出す
お父さんは 僕を高く抱え上げて
母さんと僕とダンスを踊った

僕が眠りにおちるまで 踊ったあと
お父さんは 僕を抱えて階段を上がったもんだ
その時僕は 自分が確かに愛されてるって知った

もう一度 お父さんとダンスができるなら
僕は 終わることのない歌を歌おう
僕は どれだけお父さんともう一度踊ることを どれだけ望んでいること”

今は亡きお父さんへの想い出と、それを悲しむお母さんに、もう一度お父さんに会わせてくれという、神に祈るという。
非常に清廉で、かつこれがルーサー・ヴァンドロスの素晴らしいボーカルで展開されますと思わずですね、グッと来てしまう名作中の名作でございます。

てなわけで『父の日で棚からひとつかみ』ご清聴ありがとうございました。

♪ Dance With My Father/Luther Vandross

今週のオンエア曲

14:04 いのちの歌/竹内まりや
14:10 ロッキン・ダディ/ハウリン・ウルフ
14:15 パパの歌/忌野清志郎
14:20 アイム・ハー・ダディ/ビル・ウィザース
14:24 Sunday Father/Barry Manilow
14:31 My Heart Belongs To Daddy/Marilyn Monroe
14:37 Let Me Be The Man My Daddy Was/The Chi-Lites
14:42 父親の悲哀/矢野顕子
14:46 Dance With My Father/Luther Vandross

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