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山下達郎さん サンデーソングブック2022年1月2日『新春放談放談(ゲスト宮治淳一)Part.1』(#1525)

サンデーソングブック山下達郎サンデーソングブック 
サンデーソングブック

福岡県福岡市内で新年を迎えました。
おだやかな、お正月です。
今年もよろしくおねがい申し上げます。

今日のサンソン、達郎さんの「アナログ感」は説得力がすごいなぁ。

ということで、このブログでは山下達郎さんのサンデーソングブックの一部を文字お越ししています。
誤字脱字は、ご容赦くださいませ。

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冒頭

達郎氏:

新年あけましておめでとうございます。
山下達郎です。

旧年中は、サンデーソングブックお世話になりました。
誠にありがとうございました。
新年、2022年始まりました。
本年も、あい変わりませず、何卒ご支援のほどよろしくお願いします。

今年はサンデーソングブック、30周年を迎えますので、今年はますますがんばって、やっていきたいと思っております。

1月2日 まだ三が日でございますけれども。
お正月のサンデーソングブックは、毎年恒例「新春放談」
かつては大瀧詠一さんをお迎えしてやっておりましたけれども。

3年目になります。
宮治淳一さんが私のパートナーになります。
レコードコレクターの日本の代表選手でございます宮治さんをお迎えして、めちゃくちゃカルトなプログラムになります。

正月早々、なんだという感じでございますけれども。
いいんです!
がんばって!
今週、来週2週間、宮治淳一さんゲストにサンデーソングブック新春放談、お届けしたいと思います。

最高の選曲と最高の音質で、2022年もサンデーソングブックがんばって参りたいと思います。

ひとつ 三が日にめちゃくちゃカルトな世界をお楽しみいただけると思います(笑)
それでは、さっそく始めましょう!

~ CM ~

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「プラスティックラブ」が世界中で人気なのは?

達郎氏

ラジオ日本って、いつから始まったんだっけ?

宮治さん:

2014年の4月ですね。

達郎氏:

じゃぁ、もう7年

宮治さん:

7年がもうすぐ終わるころですね。

達郎氏:

8年?

宮治さん:

そうですね。
半年やってくれって言われて始まったんですけど。
長い半年でね(笑)

達郎氏:

人気番組ですよね。

宮治さん:

最近はなんかこう・・・ディープなものの方がウケてる・・・

達郎氏:

そうですよ!

宮治さん:

どうしてなんでしょうね。

達郎氏:

そういうものをかける曲がないんです!
うちとお宅と、ピーターバラカンさんと・・
何人かしかいない。

「カルト」っつったって、たかがしれてるからね、あとはね(笑)

宮治さん:

っくくく(笑)
でも、結構今、若い人が付いてきてる・・って言い方悪いけど、いいと思ってる人も・・
前と比べたらね・・

達郎氏

アナログ信仰とか・・
サブスクなんて全部・・イヤな言い方するとミソもクソも一緒だから。
そのなかからレコメンデーションみたいなのがあるでしょ?
そしてお、おー!とか思って・・
昔のラジオの代わりを務めてると思うね。

宮治さん:

YOUTUBEでみると、右側にダーッって出るじゃないですか。
だから「プラスティックラブ」なんて、ぜったいそうですよね(笑)

達郎氏:

はははは(笑)

宮治さん:

初めてこんなの聴いたっていう人が世界中にいて。

達郎氏:

っふふふ(笑)

宮治さん:

だって昔、聴きようがなかったんですもん。

達郎氏:

そうね(笑)

宮治さん:

手段がない。
そのなかからラジオがない。
日本人しか知らないものが、今やもう堰を切ったように・・

達郎氏:

35年前に言ってほしかったんですよね(笑)

宮治さん:

でも35年経ったら、みんなウケるかといったらそうではないですからね。

達郎氏:

それはやっぱりトラックのね(笑)

宮治さん:

ぜんぜん年月に堪えるという。

メディアのプロパガンダにだまされちゃいけない

達郎氏:

新春放談もね・・何年なの・・

宮治さん:

3回目ですね。

達郎氏:

だから、これも要するに誰も知らないアレだけど(笑)
聴きゃぁちゃんとしてる(笑)

宮治さん:

ベリー・レアなものだけを選んでるつもりはないんで(笑)
今の普通の人が聴いても、珍しいだけで、いいですよねって(笑)
聴いてもらえるものを選んでるつもりですよね。

達郎氏:

そうですよ!

歴史的に善感性のあるもの・・
今日も持ってきてもらったようなね。
だいたい宮治さんは、アレですよ・・
アメリカンロックとエレキインストだけだと思うと、とんでもなくて。
いきなりカテリーナ・ヴァレンテとか出てきたり、そういう人だから。

今日もなんか・・今回は前もってお皿もらってリマスターしてきたんですけど。
え? は? なにこれ?
みたいな(笑)
すごいですよ、この厳選された・・

宮治さん:

達郎さんに、それ言われると、ほんとにそうなんですかねと・・

達郎氏:

自分の番組はどうしてるんですか(笑)

宮治さん:

ぼくも似たような曲をやりますけど、一応テーマ性もってやってるんで。
単純にレアなやつかけるわけには、いかないんで(笑)

達郎氏:

ぼくよりも、ちゃんと、きちっと整合性がとれてるんですね(笑)

宮治さん

いいものだけ、かけますって言ってもね(笑)
じゃABC順に・・みたいな(笑)
それじゃやっぱりね。

一応レーベル特集とかね。

達郎氏:

なるほどね!

宮治さん:

作家特集とかね。
達郎さんだって昔から、ね!

達郎氏:

でも最後の方になっちゃったら、どうでもよくなっちゃって(笑)

宮治さん:

それも何なんだろっていう感じ(笑)
でも、いいものであれば、別にテーマ性がなくても、いいから聴いてくださいって・・

達郎氏:

我々の高校生のときから、そういう体験をしたわけだから。
TOP40より、ぜんぜんこっちの方がチャートなんか入ってなくても、ぜんぜんいいやっていうさ。

そういうものがね、たくさんあって。
メディアのプロパガンダに騙されちゃいけない!

宮治さん

ヒットしてないものであっても・・
ヒットしなかったものは、別に悪かったわけではないというね。

シングル合宿

達郎氏:

今日持ってきてもらったもののB面とかね。
なんつっても最初にかけたかったのは、Marjorie Noelの・・

宮治さん:

これね~

達郎氏:

すごいこれ(笑)

宮治さん:

何これ?ですよね。
話が長くなるんですけども。
「シングル合宿」ってのをうちでやりましてね。

達郎氏:

何それ(笑)

宮治さん:

4人の大の男がですね、温泉場にいってですね、シングル盤をそれぞれが50枚くらい持ってきて、朝までかけまくるという。

自分のも人に聴かせるんですけども。
人のものも全部聴かなくちゃいけないというですね。

ぐるぐる回ってもう・・
その中で一番若い、三十ちょいの人がいて、コメイジ・マサトくんっていうんですけども。
彼がマージョリー・ノエルの4曲盤を持ってきてたんですよ。フランス盤を。

で、かけたら「え~っ!!」
僕はアンダース&ポンシアのファンですから。
「こんな曲やってたんだ!」って聞いたら、その人がぽろっと「なんか日本盤が出てるそうすよ」って(笑)

え~って(笑)
その日、家に帰ってですね自分の棚みたら、あるじゃんって(笑)

達郎氏:

持ってたったやつね。

宮治さん:

っていうことなんですよ(笑)

達郎氏:

すごいですね!

♪ Fais Attention(明日の青空)/Marjorie Noel

自分の家にあるレコードをちゃんと聴いてない

達郎氏:

4人での温泉での視聴大会って、まるで闇鍋のような(笑)

宮治さん:

誰が何をかけるかって、わかんないわけですよ。
でも、みんな清聴しなきゃいけない(笑)
普通4人が集まって、四角に座ると普通麻雀ですけど(笑)

コタツの穴にぼんとポータブルのコロンビアのプレイヤー置いて。
ひたすら聴きまくるという。

達郎氏:

年齢は、そのお若い方がいらっしゃるということで・・

宮治さん:

あとは50歳とか、60歳とかですね。

達郎氏:

最年長なんですね?

宮治さん:

私、最年長ですね。
でもやっぱり、再発見多いんですよ!
「こんなので出てんの?」
みたいなね。

達郎氏:

どういう知り合いなんです?

宮治さん:

いわゆるコレクター同士ですね(笑)
かなり変な(笑)・・集まりですね(笑)

達郎氏:

宮治君も前期高齢者の仲間入りをして。
まだまだそうやって音を掘るというね・・
ディガ―としてのアレと、モチベーションがさっがっていないところが、ますます旺盛になっているということが、今回持ってきてもらったシングルを見て痛感したんですけど。

宮治さん:

痛感しましたよ!
ぼくもシングル合宿で、それに出会ってですね、まだまだ全然わかってないということが・・
ましてや自分の家にあるものを、ちゃんと聴いてないというのが、よくわかるという(笑)
毎年同じようなこと言ってるような(笑)

達郎氏:

まったく同じですね!

買ったレコードは半分もきけてない

達郎氏:

実はですね、買ったレコードの半分は聴けてないんですよ。

宮治さん:

あらら!

達郎氏:

アルバムを作り始めたので(笑)
それのおかげで、来たレコードが・・
来たはいいけど、置いてあるだけで。

普通だったら聴いて、
「いい」とか「まあまあ」とか書いて。
「インスト・・」「B面がよかった」
とかそういうのあるけど。

そういうのが、ぜんぜんできないまま、ただ買ったレコードが山積みになってるっていうだけで。

B面なんて、ましてやね。

それで、昨日・・向こうのディーラーが短いコメントを書いてくれてて、こういうようななね。
これを見て、リスト見て。

宮治さん:

コメントついてるって、いいですね。

達郎氏:

そうでしょ!
それでまず、あたりとって。
最近はやっぱりYOUTUBEの音とかそいうの付けてきてくれて。
それでよければ買ってくれみたいな・・
多くなってるのね。

それを必死で見て、発見したのもあって。
それから聴こうかなって(笑)

結果的なんですけど(笑)
一番最近ひろったのがね、トレメローズ・・
ぼくがアマチュアバンドの時に、トレメローズが好きで。
アマチュアバンドでトレメローズ、ずいぶんやってたんですよ。

トレメローズの「Be Mine」という曲があって。

宮治さん:

ヒット曲ですか・

達郎氏:

いや、ぜんぜん・・
これ、イタリアのバンドの曲で、カバーなんですよ。
これのオリジナル、ずーっと探してたんですよね。
そいで手に入れたんです。

スクーターズってバンドなんですけど。
さっきのと違って、トレメローズの「Be Mine」って、おそらく僕の番組でしか日本ではかかったことないので。

これをかけてから、オリジナルを聴いてもらいます。

♪ Be Mine/The Tremeloes

達郎氏:

僕らが知ってるこの曲なんですけど。
これのリードボーカルを高校のときにやってたんですけど(笑)

宮治さん;

いやぁ、すごいですね。

達郎氏:

それで、バカにされたという(笑)

それのオリジナルでスクーターズ・・
ぜんぜん違うテイストなので、聴いてください(笑)

♪ Mi Seguirai/Gli Scooters

宮治さん:

ちゃんとカラーですね!ジャケットね!

達郎氏:

これ5人組のバンドで、写真だけみるとドゥー・ワップグループみたい(笑)
サウンドも一瞬なんかイタリアのプログレみたいなテイストがあるでしょ(笑)

この放送聴いてね、なんでこんもんかけんのかって(笑)
これ、僕のね50年来つきあってる親友が二人いるんですよ、いっしょにバンドやってたね(笑)
この二人がね、狂喜乱舞した(笑)
「これ、やろ―」って(笑)

宮治さん:

これ、昨年のナンバーワン・ファインダー!

達郎氏:

昨年はね、実はね、72年に、19のときに日本のポリドールがスタックス持ってたときに・・
当時ってR&B系ってシングルなんて思うように切れないから、年間ベストヒットみたいなもの・・
モータウンとかスタックスとかあるじゃないですか。

宮治さん:

コンピレーションですね。

達郎氏:

72年のねスタックス・ゴールデンヒットというのがあって。
毎日聴いてたのね。
それが引っ越しのときに、25年前に、どっかへいっちゃったんです。

それ以来、それを探してもぜんぜんあるわけないし。
あんまり売れてなかったから。

宮治さん:

でも日本盤だから、あってもおかしくないですね。

達郎氏:

そしたら、このあいだ、ぜんぜん違う場所でみつかった(笑)

宮治さん:

自分のものが見つかったんですね。

達郎氏:

そうなんです。
あまりのうれしさにレコード・コレクターズ誌の「私の収穫この一枚」はそれにしたんです(笑)

♪ Dynamite/The Clee Shays

♪ Big Mr.C/The Link Eddy Combo

♪ Dakota/The Jumping Jewels

~ CM ~

今さら何をアナログだって!

達郎氏:

ここの数年、いわゆるアナログ・ブームというんでしょうかね・・

宮治さん:

ですね~
ぼくみたいにレコードで始まった人と、下手すりゃCDすら知らないという世代の、アナログのとりかたって全く違うんじゃないですかね。

達郎氏:

そうですね。

宮治さん:

ぼくなんか、やっぱりアナログで聴くのに始まって、アナログで今こういう形で聴くのが、一番いい音じゃないかなと思ってやってるので、別にレコードよりもいい音でかけるなんてなくてもいいかもしれない。

でも、みんなこのひと手間がいいっていうですよね。
ぼくはひと手間がいやなんですけどね。

達郎氏:

っはははは(笑)

宮治さん:

ほんとうに(笑)
そうじゃなかったら、もっといいんですけどね。

でもやっぱり、まだまだ全然知ってるようで知らない世の中にレコードがいっぱいあると思うと・・

達郎氏:

老後の楽しみって言ってましたけど、老後の楽しみどころじゃないですよ。
老後の苦しみですよ!

宮治さん:

そうですよ。
あと、一生どころか三生くらいやらないと・・

達郎氏:

いつも聴いてる話ばっかりじゃない、メール来ると。
「これがよかった」とか・・
でも1日50枚は聴けないから。

宮治さん:

聴けないです。
1日50枚やると、最初の感性が、どんどん鈍ってきて後半になると、どれ聴いても、まぁこんなもんだろうって。

やっぱりね、起きてから1,2時間が勝負ですね。

達郎氏:

ぼくなんか、音楽やってる人間なので・・
アナログの人気っていうのはね、ぼくの個人的な感想なんだけど。
70年代以前はコンピュータ・ミュージックがなかったのでね。
全部人力しゃないですか。

人力でやってる音楽の緊張感っていうのがあって。
それは、どうやってもマシン・ミュージックには追い付けない部分があるんですよね。

そういうところと、CDが結局44.1kHzで固定されていることで、CDのプレーヤーって20kHzから上をカットしてるんですよね。ハイカットしてるんですよ。

最近ね、すごいおもしろい話があって。
ぼくのリマスタリングやってくれてるワーナーの菊池さんっていうエンジニアの方がいらっしゃて。

80年代から90年代にかけてのデジタル・マスターっていうのが、すごくスペックが低くて・・
それの上にバッサリ上を切られちゃってるんで。
それから上が、やっぱりないと、倍音がちょっと不足してるんだけど。
それをアナログで切ってるんですって。
当時のデジタル・マスターからアナログ盤で12インチで切ってやると、倍音がちゃんと出るんですって、上の20kHz以上のね。

それは要するに、ピアノとか、そういうものの持ってる倍音とかがちゃんとあって。
それが昔のRIAAカーブの・・アナログだと、それが出てくるっていうから、すごくいいんです。

それをもう一回CD化すると、今のスペックでね、やると・・
艶がぜんぜん違うっていうんですよ。

そういう手法で、やっぱり音って深いんですよ。

宮治さん:

深いんですね~

達郎氏:

それ、すごくおもしろい話でね。

単にデジタルがいいか、アナログがいいか、じゃないんですよね。
いいとこどりっていう形で、今出てきてるから。

「アナログには、かなうわけない」
ってジジイ、ババアは言うんだけど(笑)
そうとも言えないんですよね(笑)

だけど、デジタルが絶対だったら・・
今、要するに192kHzかな、再サンプリングとかやってて。
それが金科玉条みたいになってるけど、それだと、確かに音はいいですよ

だけど僕らが生きてるロックンロールの音はしないんですよ!

なんかね、すきまがスカスカで。
なんか、つまんない、聴いてて。

「つまんない」と思うファクターをアナログのある面が解決してくれてる。
人間の耳って、都合のいいとこを、自分が聴きたい、歌だったら歌、言葉・・
ギターがぱっと入ってくる・・
そういうとこを注視して追うじゃないですか。

そういうようなところを誇張してるのが時代のアナログのいいところだから。

そういうようなところがアナログだなって。
若い人の耳に・・人間の耳って50年、100年って何にも変化してないから。

そういう人間の聴覚に訴えかける何か刺激の原点というのが、アナログが持ってる。
それが、どんなに若い子でも感じるから。
やっぱりアナログだって。

カセットも同じで。

「今アナログどうですか」って言いますけど、ぼくは85年にデジタル・レコードが出てきたときに、ぼくこれイヤだと。
アナログでやりたいんだって言ったら、またガラパゴスがね、とかシーラカンスだとか、20世紀の遺物だとか、さんざん言われたんだから!

今さら何をアナログだって!

宮治さん:

っはははは(笑)

♪ Big Man/Barbara Jackson

♪ Goin’ Down The Stony End/Milt Okun’s New Friends

クロージング

達郎氏:

お送りいたしてまいりました山下達郎サンデーソングブック
宮治淳一さんゲストに新春放談放談 Part.1でございました。
この続きは、また来週Part.2。
今度は何が飛び出しますか・・
あまり変わりませんけど、でもカルトなことには変わりありません(笑)

いつも新春放談のときはですね「お誕生日の代読メッセージ」はご容赦いただいております。
なにとぞよろしくご了承ください。
それではサンデーソングブック、来週もセイム・タイム、セイム・チャンネルで、みなさんごきげんよう。

今週のオンエア曲

14:09 Fais Attention(明日の青空)/Marjorie Noel
14:15 Be Mine/The Tremeloes
14:17 Mi Seguirai/Gli Scooters
14:23 Dynamite/The Clee Shays
14:27 Big Mr.C/The Link Eddy Combo
14:31 Dakota/The Jumping Jewels
14:41 Big Man/Barbara Jackson
14:46 Goin’ Down The Stony End/Milt Okun’s New Friends

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