テレビ朝日系列の「EIGHT-JAM」にて山下達郎特集が10月11日、18日の2週にわたり放送されました。
https://www.tv-asahi.co.jp/eightjam/
アーティスト・ゲスト
本間昭光、藤井怜央(Omoinotake)、穴見真吾(緑黄色社会)、大島真帆(Penthouse)
トークゲスト
市川紗椰、高橋茂雄(サバンナ)
このブログでは、10月11日放送の一部を文字お越ししています。
誤字脱字はご容赦ください。
「人力」へのこだわりに、1982年長崎市公会堂で青山純さん・伊藤広規さんのリズムに度肝を抜かれた記憶がよみがえりました。600公演から半年かけて選ぶ執念にも脱帽です。
- 「やーっとこさ」——37年ぶりのライブアルバム『JOY2』、重い腰を上げるまで
- 18年・600公演の音源から、半年でベストテイクを選び抜く
- ライブの出来は、終わったその日に聴いて星をつける
- これが達郎さんのExcel——二重丸は「サックスソロがいい」の印
- 歌い直しもオートチューンも使わない——「人力思考」で積み上げた全国各地の名演
- 6枚組でも収まらない! 300曲超のレパートリーを3枚に絞る苦闘
- 前作『JOY』やシュガー・ベイブ関連作と「かぶらない」ための選曲ルール
- 3枚で「3日分のライブ」——起承転結で組み上げた曲順の秘密
- ベストテイクの決め手は、何よりも「ボーカルの出来」
- ライブの方が出来がいい?——歌い込むほど練れていく山下達郎の歌
- 半分はお客さんが作る——客席との交歓と、演者が消えて世界だけが見える瞬間
- 作詞・作曲・編曲・演奏・歌唱まで一人——頭の中のレコードをステージに再現する
- まずライブありきだった世代——フォリナーやAC/DCに学んだ「再現性」の発想
- レコードとの差が小さいほど満足度は上がる——だから「フェードアウトの先」を聞かせる
- 「期待を50%叶え、50%裏切る」——最高のエンターテインメントの法則
- 「人力だけでこれほどのアンサンブルを」——本間昭光が受け取った後輩へのメッセージ
- 生ピアノ、ローズ、1981年からの茶色のギター——徹底した楽器編成の舞台裏
- クリックを使わないからグルーヴが生まれる——走って、スローダウンする絶妙なテンポ差
- 支えるのは楽器編成とタイム感——「レンジ」にうるさい山下達郎のバンド論
- 「上手い人はクリックいらない」——YMO、幸宏さん、青山純に見る技量とグルーヴ
「やーっとこさ」——37年ぶりのライブアルバム『JOY2』、重い腰を上げるまで
インタビュアー:
「JOY2」の制作について。
本間さんが、ファンにとっては待望の37年ぶりのライブアルバムですが、今回このタイミングでのリリースに至った経緯や思いをお聞かせください、とのことでした。
達郎氏:
やーっとこさ、って感じですね。なまけもんなんで。あ、冗談です。
最近シャレ通じないから。えっと、まぁ、ホントにやっとです。
37年の間に出そう出そうという意志はあったんですけどね。
オリジナルアルバムがまず、とにかく物凄いインターバルが長くなっちゃったんですね。
70年代、80年代は毎年ずっとやってたぐらいで、年をとったからってのもあるんですけど、40を越えてから色々とちょっと事情があって。
レコーディングの環境とか。7年に1枚ぐらいのペースになっちゃって。
21世紀に入ってもうそのインターバルで。
こないだの『SOFTLY』に至っては11年ぶりですからね。
それでライブアルバムなんて考えてる余裕がないですね。
オリジナルアルバムのやっぱりインターバルが物凄く、出せないんで、ライブアルバムどうしようかってタイミングをやってる間に、ツアーを始めたでしょ。
で、ツアーを始めて18年になるんですけど、ツアーはツアーでまた結構忙しいっていうか、そういうものが色々重なって、出したいんだけど出せないっていうか、そういう、そういう間に音源がたまってきて、それをチェックするとかそういうのも、データを見ると呆然としてね。
いつ始めようかっていう、そういうあれですね。
で、やっとまぁ重い腰を上げたっていう。
18年・600公演の音源から、半年でベストテイクを選び抜く
インタビュアー:
緑黄色社会の穴見さんも質問あるんですが、まぁ、とてつもないライブテイク、18年分で600公演、あると思いますけど。
そんな中で、達郎さんご自身がベストテイクを選ばれたと存じますが、選曲から完成まで、「JOY2」の制作に一体どれほどの時間がかかったのでしょうか?
達郎氏:
スタジオ入って、作業始めてから半年です。
それ前の、12月、去年の12月から、具体的な選曲のあれを始めてね。
ただ、あの、ずっとライブはPAアウトつって、80年代はカセットで、90年代はDATで。
ずっとそれは持ってるんで、それだからまぁ、ライブ作る時にはこの時のテイクだっていう、アタリは大体あるんです。
だから半年でできます。
それをエクセルでこの、後でお見せしますけど、エクセルで一覧表にして。
それで何の曲を入れるかってのを決めたら、その曲のベストテイクをどれにするかっていう、あの、そういう段取りですね。
四つ星とか五つ星とかで、その日の出来をね。
で、この曲は特によかった、この曲は間違えてるとかそういうことをメモってあるんです。
ライブの出来は、終わったその日に聴いて星をつける
インタビュアー:
達郎さんおっしゃってたその「チェック」というのは、ツアーが終わってどこかのタイミングでやるみたいな?
達郎氏:
違うんです、その日に聴いちゃいます。
で、大体覚えてるじゃないですか、自分でやってるから。
だからあそこで歌間違えたとかそういうところも一応メモはしとくんです。
これが達郎さんのExcel——二重丸は「サックスソロがいい」の印
インタビュアー:
先ほどその、ライブの選曲を選ぶ、今回の「JOY2」の選曲を選ぶ時になんかエクセルがあるって。
達郎氏:
エクセル、はい。
インタビュアー:
これちょっと今、あの、達郎さんが目の前でパソコンをご用意していただいてるんですけど。
達郎氏:
こういうのがあって、曲名で。
レコーディングしてる日で。これで出来のいいやつ、これ、こういうやつが。
一応こういうふうな一覧表になって。
インタビュアー:
エクセルの左に曲名が入っていまして、日付ごとに右にこう並んでいて、二重丸がされてたり、普通に丸があったり。
達郎氏:
そうです。
ガラッ、ていうのは、ガラ、あの喉ガラ。
ちょっとそういう、気になる。ガラついてるっていう。
インタビュアー:
あ、この二重丸とかっていうのは。
達郎氏:
サックスソロがいいってことですね。
インタビュアー:
メンバーの方は、この、知りませんよね?そんなの。
なかなか凄いものを見させていただきました。
「歌詞丸」っていうのは、歌詞は基本的には同じなイメージがあるんですけど。
達郎氏:
いや、これはね、丸だけど歌詞間違ってんです、これ。
インタビュアー:
あ、歌詞が間違えてる、あ、なるほどなるほどなるほど。
良かったけどってことですね。
歌い直しもオートチューンも使わない——「人力思考」で積み上げた全国各地の名演
達郎氏:
そうです。
なかなかね、あの、いいやつってそんなにないんですよ。
歌い直しとかあんまりしたくないんで。
で今もうオートチューンでもう歌、簡単に直っちゃうから。
なるべくそういうのしないで、だからそれも人力で、人力思考で。
あとはだからあの、場所を色々分散すると喜んでもらえるっていう。
新潟とかね、沖縄とか。沖縄入れられたのは本当に良かったんですけど。
全国の人が、あ、私これ行ったことがある、とかね、そういう、アレがありますから、そういうの喜んでもらえる。
でも残念ながら横浜と広島は入れられなかったんですけど。
6枚組でも収まらない! 300曲超のレパートリーを3枚に絞る苦闘
インタビュアー:
ディスクが今回1から3と分かれていますが、曲順や選曲、どのようなイメージで行われたのでしょうか?
達郎氏:
それが一番大変でしたけどね。
とにかく初めからオーバーフローしてることは分かりきってるんで。
でもCDだから3枚かなって、進行してるうちに6枚でも入らないなっていうぐらいのストックになっちゃってるんですよ。
だいたい今まで300ちょっと曲やってきて、ステージで全部やってるのは70か80ぐらいなんですけど、それ全部入れたら結局CD1枚に12、3曲ですから。
6枚組ぐらいになっちゃうんですよ。
他にカバーとか、洋楽とかもあるんで。そういうの入れると、ま、100超えるんで。
前作『JOY』やシュガー・ベイブ関連作と「かぶらない」ための選曲ルール
達郎氏:
そうするとどうするのかなって、とりあえず37年ぶりのライブアルバムなので、前作のJOYって、まぁ仮にJOY1って言いますけど、あれと、かぶらないように。
あと、シングス・シュガー・ベイブって、94年にシュガー・ベイブのレパートリーやってますから、それが去年、シュガー・ベイブの50周年でボーナスディスクで入ってるんで、それをなるべくかぶらないように今回はやろうと。
インタビュアー:
じゃあそこが一番苦労というか、お時間かかった、その選曲が。
達郎氏:
そうですね。はい。選曲が一番かかりました。
3枚で「3日分のライブ」——起承転結で組み上げた曲順の秘密
インタビュアー:
曲順はいかがでしょうか。
達郎氏:
曲順は3枚ですけど、大体1つのライブみたいな感じで作ってるんです。
起承転結は大体普通のライブの進行みたいに作ってます。
で、1枚目はまぁ、定番の、あとヒットシングルとかそういうものが中心で。
CDの許容タイムってのは74分40何秒なんですよね。
もう目一杯入ってるんですよ。1、2、3とも。
2枚目は割とこう長尺っていうか、すごい、くどい、くどいそれの、あの、あれです。
で、3枚目はまぁ、1枚目の延長という形の、こう。そういう感じ、だから3日分のライブみたいな、そんな感じですね。
ベストテイクの決め手は、何よりも「ボーカルの出来」
インタビュアー:
先ほど五つ星とかってこう印をつけられてって選曲されていくっておっしゃっていましたけれども、藤井さんから、達郎さんにとって、なんかこれがいいテイクだって思えるのは、どういう要素が絡み合ってなのか。
達郎氏:
ライブアルバム作る時はもうボーカルの出来ですね。
それがもう第一です。
で、演奏の出来と合わさればそれがベストですけれど
基本的にはやっぱりあの、どっちか優先するって言ったら圧倒的にボーカルです。
歌の出来がもう第一です。
ロングツアーですから、やっぱ声の調子が、いい時と悪い時、やっぱアベレージ、それいくら揃えたくてもやっぱいい時悪い時あるんで。
20代30代の時よりははるかに節制してるので、あの、昔よりはね。
昔はもう頭の30分声出なかったみたいな時代もありましたから。
朝まで飲んだくれて。
そういうのに比べればアベレージはアレなんですけど、
それでもやっぱ出来不出来があるんで。
ライブの方が出来がいい?——歌い込むほど練れていく山下達郎の歌
インタビュアー:
通常の達郎さんのアルバムと、ライブアルバムということで、多少こうポイントというか、違った部分とかはあるのでしょうか?
達郎氏:
すべてレコーディングの場合はそれがファーストテイクじゃないですか。
一番最初に歌じゃないですか。
でも年月経て歌い込んでくるとやっぱり解釈が変わるんですよね。
だから特にやっぱり演歌の方々なんかやっぱりファーストテイクがすごく気に入らない方
やっぱ当然ですけど、で、歌い込んでいくうちにやっぱりリレコしたいっていうか、もう1回歌いたいって僕そういうのがあんまりないんで。
それはそれでしょーがないんで。
ただライブはやっぱりその、お客相手にやりますから、
だから大体昔から山下達郎の場合はライブの方がレコーディングより出来がいいって歌は言われますんで。
自分でそんなにそれほどの自意識がないんですけど、
で、やっぱり聞いてみるとやっぱ練れてきたっていうか、そういうことですよね。
半分はお客さんが作る——客席との交歓と、演者が消えて世界だけが見える瞬間
達郎氏:
ライブはやっぱり本当に、一期一会っていうか、一発勝負なので、
突発的なそういうこともありますし、あとお客の反応ですよね。
半分はお客がやっぱり作りますから、そういう緊張感はあります。
全部自分が提示したのもお客が全部受けられるわけじゃないので。
そういうところのやっぱり、お客との感応っていうか、そういうものもすごく重要ですから。あの、それはね、やってる方の感覚でもありますし、僕見てても、そういうのは交歓してるなっていう瞬間ってちゃんとあるんですよ。
だからこそ、それこそ演奏者が見えなくなって音しか聞こえなくなる瞬間とかね。
あと、例えば噺家さんとかそういうところがものすごくあって、お芝居もそういうのありますよね。あの、演者が一瞬見えなくなって世界だけが見えるようになるっていう、そういう瞬間っていうか、そこまでいけば理想ですけど。
でもやっぱり一番重要なのは歌の出来で。
作詞・作曲・編曲・演奏・歌唱まで一人——頭の中のレコードをステージに再現する
インタビュアー:
ライブアレンジについて、ちょっとお聞きしたいと思うんですが、ペントハウスの大島さんがですね、ライブアレンジはどのように構築されていくのでしょうか。
達郎さんが、ある程度型を決めて、バンドメンバーの皆さんに共有されるのか、バンドメンバーの皆さんと一緒に1から作り上げていかれるのか教えていただきたい。
達郎氏:
なかなか難しいですね。僕の場合は、だから、1人で作ってるので、作詞作曲編曲、演奏、歌唱なので、レコーディングの時から細かいところまで全部見えてるんですよ。
ですので、それをライブでどう再現するかっていうのは、自ずとやっぱり決まってくるんです。
ライブとレコーディングが全く、演奏形態が違うっていう人もいるんですけど、僕の場合は基本的にはレコード出してる以上レコードに近い音像っていうか、そういうものを作るのが自分のあれだと思ってるので。
まずライブありきだった世代——フォリナーやAC/DCに学んだ「再現性」の発想
達郎氏:
僕らの世代の時には、今のわかりませんけど、プロになったら、一番最初にやることはライブなんですよ。
で、ライブが積み重なってレコード会社が寄ってきて契約するっていう。
レコーディングがそのあとなので、
で、やっぱり1枚目とか2枚目とかライブで演奏してる曲をレコーディングするんですよ。
で、今はやっぱり、それが変わってきてて、デジタルミュージックもあるので、スタジオの中で作ったもので、ライブでどう再現するかって逆の方法論ありますけど、僕らの時代そんなのないんで、まずはライブって。
だから必ずやっぱりライブの再現性ってことを最初はすごく意識して作ったんですけど。
あとはシングルが例えば締め切りがすごくタイトだとそんなこと考えてらんないじゃないですか。
であとタイアップなので、その相手の音像に合わせなきゃなんないっていうか、例えば「高気圧ガール」ね、そういうようなテーマがあってそれに書かなきゃなんない場合そうやってライブの再現性ってのはある程度犠牲にしなきゃなんないものもあるんですよ。
だから演奏不可能な曲って何曲か出てくるんですけど。
なるべくやっぱりライブで再現可能な形で最初から考えるのはやっぱりなんか癖っていうか。で昔の人はみんなそうですよね。
フォリナーなんてのは完全にライブの再現性を考えて作ってますし、AC/DCなんかそうですし、メタルの人はみんなほとんどそうですよね。
ライブでこれどうやるかって。
レコードとの差が小さいほど満足度は上がる——だから「フェードアウトの先」を聞かせる
達郎氏:
レコードを聞いてライブに来るので、そのやっぱり差異っていうのは絶対自覚してるはずなので。ライブとレコーディングの差が近ければ近いほど、やっぱ自分の聞いてきた経験則に合致してるんで、満足度が大きいってそういうまあ解釈ですかね。
あとはだからそれをどれくらい今度裏切っていくかっていう。
構成的にどうやって、だからフェードアウトの先を聞かせるのがライブだって昔よく言ってたんですけど。
それはそういう意味ですね。
だから一瞬ブレイクしても、そっから先へ行こうという予定調和をどう崩すかっていう。
「期待を50%叶え、50%裏切る」——最高のエンターテインメントの法則
インタビュアー:
なるほど。再現性のさらに先には、ちょっとその裏切りというか。
達郎氏:
そうですね。アレンジでも何でもそうですけど、期待を50%叶えてやって50%裏切るってのは最高のエンターテイメントだっていう。
昔から特にジャズの世界でそうやって言われますから。受け売りですよこんなの。
全然別に自分で考えたことじゃないですけど。
でも基本的に音像はなるべくレコードに近いものを作りたいってのは基本です。
「人力だけでこれほどのアンサンブルを」——本間昭光が受け取った後輩へのメッセージ
インタビュアー:
ではまた本間さんからのちょっと、コメントをお預かりしてるんですが。
本間さん曰く、自分的には今回のアルバムで達郎さんからの後輩ミュージシャンへのメッセージを感じてしまった、とおっしゃってました。
達郎氏:
そうですか。
インタビュアー:
で、それはすなわち、それは人力だけでこれほどのアンサンブルを奏でていること、俺たちは人力だけでこれができるぞ、と受け取った、そうなんですが、そのような思いが達郎さんの中におありですかという。
達郎氏:
あの・・・ねえ、人力というよりはねえ、
とにかく新しいものにみんな飛びつくじゃないですか。
それをやっぱり一回立ち止まって俯瞰しないと、
シンセが出てきたときもコンピューターが出てきたときも、とにかくみんなそれに飛びついて、これからはこれだっつって。
そういうのねえだいたい嫌いなんですよ。古いものが好きなんで。
自分が生まれた頃の音楽が好きだった人間なんでね。なのでシンセ絶対使わないっつって、テクノ絶対やらないっつって粘ったんですけど、やっぱもうだめだっつって。
3年、5年ぐらい遅れてんですね。
で、人力でやるってのはもうほんとにそれは本間さんの仰る通りで、なるべく要するにステージでクリック使わない。
昔からやってますけど、クリック使ってたの「クリスマスイブ」と「アトムの子」だけだったんですけど。
最近クリック使うことによって、演奏不可能の曲が演奏可能になってきたんで、
今回もそれで1曲、今まで1回もやったことない曲やってますけど。
そういうメリットもまたあるので。
生ピアノ、ローズ、1981年からの茶色のギター——徹底した楽器編成の舞台裏
達郎氏:
ただね、えーと、だから本間さんの仰りたいことよくわかるんですけど、
人力と言うよりはねえ、楽器編成の徹底っていうか、
基本的に生ピアノしか使いません。
デジタルピアノ使いません。
デジタルピアノはあの、ドラムの音圧に絶対勝てないんで。
それからフェンダーのローズ、このエレクトリックピアノですね、
これはだから1970年代からずっと同じ楽器使ってんです。
僕の使ってる茶色のギターは1981年からずっと使ってるので、
JOY1もJOY2も全部この茶色のギター1本なんで、
あとはエレクトリックアコースティックですけど、あとはベースの伊藤広規の使ってるベースも、82年以降のそういうのアルバム以降は全部あれなんです。
だから、レコードで使ってる楽器と同じ楽器編成でやってるので、
基本的にはレコーディングの時もクリックほとんど使わないでやってきたんで。
クリックを使わないからグルーヴが生まれる——走って、スローダウンする絶妙なテンポ差
達郎氏:
スパークルとかクリック使ってませんから。
だから間奏のギターのソロのところは青山純のあのハット踏んでるあれで、やってんですけど。
「元気を出して」とかもアカペラになってるところはフットハットだけで頼りにやってるんで。
たまにだから「ライドオンタイム」はクリック使ってますけど、
使ってないほうが多いです。
そっちのほうがグルーヴが出るんで。
やっぱりだってエキサイトしたら走るじゃないですか。
で、落ち着いてきたらやっぱスローダウンするんですから、
その微妙なテンポ差ってのがグルーヴ生むんですよね。
支えるのは楽器編成とタイム感——「レンジ」にうるさい山下達郎のバンド論
達郎氏:
ただそれにはすごくタイム感のいいミュージシャンじゃなきゃダメです。
だからそういうところを支えるのは楽器編成なんだっていうね。
楽器編成ってやっぱその、弾くところのレンジですよね。
レンジがものすごい煩いんです僕。
高いと「高い」っつって、
「もっと低くしろ」っつって、そうすると「目立たない」って文句言うんですよ。
そういう人とはやりません。
「上手い人はクリックいらない」——YMO、幸宏さん、青山純に見る技量とグルーヴ
インタビュアー:
すごく素人質問になってしまうんですが、クリックっていうのが、まあ普通はあるものなのに、でそれはみんながやっぱ揃えやすいからっていうのがある。
達郎氏:
そうです。
あの、いや、こういう言い方するとテレビでアレだけど、下手だからです。
上手い人はクリック要りません。
ただ、コンピューターと一緒にやる時はクリック必然性なので、それは仕方がない。
でもYMOがなぜあれしたかったら、彼らはクリックなくても演奏できる。
助け要らないんです。本当はね。
でも逆に幸宏さんはクリックあっても完璧にグルーヴ出せる人なんで、あの人珍しいんです。
そういうね、やっぱり演奏技量の裏打ちのクリックなんですよ。
だから走ったりモタったりするところをごまかすためにクリックを使ってやってる人は、クリック使っても揺れます。
クリックに頼るっていうか、うん、そういう考え方なので。
それは本当に上手い人とやれてきたのでね、みんな上手いんですよとにかく。
だからクリックでも合うんです。
だから僕青山純ってのとずっと長くやってますけど、
もうとにかく人間クリックみたいなやつだったんで。
クリックあってもなくても同じっていうね。
人力を売りにしてる人はそれだけの技量のが、ある人とやらないとダメなんで。


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